ロシアによるウクライナへの攻撃が続き、欧州で緊張が高まっている(1月)=ロイター

冷戦崩壊後に30年にわたる平和を享受していた欧州は、2022年春に始まったロシアのウクライナ侵略により一転して世界の安全保障問題のショーケースとなりました。他の地域に先だって大きな変化にさらされた欧州の事例からどれほど学べるかが、米国と中国の覇権争いの行方も左右します。現場で何が起きているのか、現地で取材する記者からの報告です。

(1)欧州に広がる「福祉より国防」 自由の代償、誰が払うか


デンマークのフレデリクセン首相は「我々は自由の代償を払ってこなかった」と訴える=ロイター
東西冷戦後の平和を背景に経済統合や福祉の充実を進めた欧州には、ロシアのウクライナ侵略を受けて「戦争前夜」(ポーランドのトゥスク首相)の緊張感が漂う。各国は軍備拡張を急ぎ、福祉よりも国防を優先する動きが勢いづく。安全保障を巡る欧州の動向は、日本などアジア各国の議論にも影響を及ぼしうる。…記事を読む

(2)仏、武器輸出こそ国防の命綱 マクロン氏トップセールス


マクロン大統領は武器輸出を最優先する姿勢をみせている=ロイター
フランスのマクロン大統領が、戦闘機などの武器のトップセールスに奔走している。有事に対応するには、普段から自国の防衛産業の生産能力を高めておくことが欠かせない。武器輸出で需要を安定させ、企業が積極的に生産増強に取り組めるようにする。武器輸出なしに国防は成り立たないという割り切りが背景にある。…記事を読む

(3)ドイツ、32年ぶり軍事費「2%」超え 揺らぐ財政ルール


独ラインメタルの工場建設予定地を視察するショルツ首相(右から2人目、2月)=ロイター
2024年、ドイツは北大西洋条約機構(NATO)が求める「国内総生産(GDP)2%」に相当する717億ユーロ(約12兆円)の防衛予算を計上した。GDP2%に達するのは冷戦末期の1992年以来、32年ぶり。その恩恵に浴するのが、主力戦車「レオパルト2」と砲弾を製造する独防衛大手ラインメタルだ。…記事を読む

(4)ウクライナ、女性兵士4000人が前線に 北欧は徴兵議論


任務にあたるクリスティーナ・メイヤーさん
「ほとんどの仕事は女性でもできるわ」。ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムト近郊。「クリス」というコールサインを持つクリスティーナ・メイヤーさん(30)はこの2年、大半の期間を衛生兵として前線近くで過ごしてきた。…記事を読む

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