【キーウ=共同】ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、最高会議(議会)で、対ロシア戦争の「勝利計画」について演説し、計画に今すぐ着手すれば、2025年中に戦争終結が可能だと主張した。計画の成否は「支援国にかかっている。世界の支援がなければ、われわれは敗北する」と強調した。ただ既に計画を示された欧米からは冷淡な反応が出ており、不透明感が強まっている。計画内容の公表は初めて。
ゼレンスキー氏によると、計画には、勝利に必要な兵器の数量や種類に関するリストが盛り込まれており、米国が消極的な長射程兵器によるロシア領の攻撃を容認するよう求めた。
ウクライナを北大西洋条約機構(NATO)加盟交渉に招待することも要求。ロシア西部クルスク州への越境攻撃の成果に触れ、ロシア領内への軍事的圧迫を強める重要性を強調した。国産のミサイルと無人機の製造能力増強に向けた投資の必要性を訴えた。
ゼレンスキー氏は北朝鮮が侵攻に「参戦している」と非難した。中国について「ロシアの侵略をやめさせる策を講じていない」と主張した。
計画の狙いは、欧米の支援を得てウクライナの軍事的優位を固めてロシアを交渉の席に着かせ、ウクライナ主導で和平を受け入れさせることだ。
ポドリャク大統領府長官顧問は「必要な兵器の具体的な数量や種類などを含む付属文書は公には議論できない」と発言。ゼレンスキー氏の演説でも、詳細は明らかにしなかった。
ゼレンスキー氏は9月の訪米でバイデン大統領に、10月の英仏伊独歴訪で4カ国首脳にそれぞれ勝利計画を説明した。ブリュッセルで17〜18日に開かれる欧州連合(EU)首脳会議でも計画を示す。
一部の欧米メディアは計画について、西側当局者から「勝利への明確な道筋が示されていない」「お願い事リストだ」などの冷淡な見方が出ていると報じた。
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