イスラエルによる空爆が続くベイルート南部(20日)=AP

【カイロ=時事】イスラエル軍は20日、レバノン国内にあるイスラム教シーア派組織ヒズボラと関連のある金融機関を狙い、空爆を実施した。レバノン国営通信NNAが報じた。軍報道官は標的の金融機関が「ヒズボラのテロ活動を資金面で支えていた」と主張しており、イランの支援を長年受けてきたヒズボラの資金源を根絶する狙いがあるもようだ。

AFP通信などによると、この金融機関は米政府の制裁対象で、サウジアラビアから「テロ組織」に指定されている。レバノンの首都ベイルート中心部を含め同国内に30以上の「支店」を保有。ヒズボラが国際金融システムにアクセスするために利用し、戦闘員の給与を支払う業務にも携わっているという。

NNAによれば、20日はベイルート南郊だけで11カ所が空爆され、多くはこの金融機関が標的だった。イスラエル軍は攻撃前、付近の住民に退避を勧告していた。ガラント国防相は同日、軍部隊を前に、ヒズボラへの攻撃を強化し「イスラエルに対する攻撃の『発射台』として使用予定の場所を破壊する」と宣言した。

イスラエル軍によると、ヒズボラも20日、レバノンから約70発の飛翔(ひしょう)体を短時間でイスラエル領内に向けて発射した。双方の応酬が続いている。

一方、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)は20日、イスラエル軍がレバノン南部でUNIFILの監視塔を破壊したと発表した。イスラエル側は国連部隊の要員に危害を加える「意図はない」(カッツ外相)と説明しているが、UNIFILへの攻撃は既に複数回発生。部隊を派遣している欧州諸国は数日前、同様の事案を起こさないようイスラエルに外交圧力をかける方針で一致していた。

【関連記事】

  • ・私邸標的は「暗殺未遂」 ネタニヤフ氏、報復宣言
  • ・イスラエル、ハマス最高指導者を殺害 ガザ停戦は見えず

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。