予測不能の大接戦となっているアメリカ大統領選挙まで、いよいよ2週間を切りました。

選挙の1つのカギとなるのが、トランプ氏の強力なサポーターであるイーロン・マスク氏の存在。

大富豪が行う日本では考えられない衝撃の“お金配り”を取材しました。

■大阪の街の人「面白いからトランプ」「ハリスの方が親日ちゃうか」 勝手にアメリカ大統領選挙やってみた

いよいよ投票日が迫ってきたアメリカ大統領選挙。

【共和党 トランプ前大統領】「皆さんが見たように、討論会でカマラ・ハリスに圧勝した」
【民主党 ハリス副大統領】「どちらがいい?カオスと恐怖と嫌悪の国か、自由と情熱と正義の国か」

互いに批判を強める中、選挙戦は大接戦になっています。

世界情勢にも大きな影響を及ぼすアメリカのリーダー。

関西にとってはどちらが大統領になるのがいいのか、勝手に総選挙です!

【“ハリス”推し】「ハリス。良くも悪くも現状維持。日本人っぽい考え?どんどん変えられると困るかな」

【“ハリス”推し】「女性の大統領いないでしょ。いないんやったら、1回やってみたらどうかな。また変わるかも分からんし、戦争なくなるかも分からんし」

【“トランプ”推し】「トランプさんですかね。結構パワーがある感じがするんで、なんでもガンガン変えていきそうなので、経済的にも変わるかな」

【“ハリス”推し】「ハリスやね。こっちの方が親日ちゃうかな。だってトランプ氏、何するか分からへんやん」

【“トランプ”推し】「ハリスさんは結局、バイデン政権を引き継いでいるっていうのがある。『うん…?』と思うところがあるので」

【“トランプ”推し】「絶対こっち(トランプ氏)がなった方が面白いし、注目されますよね。(Q.トランプ氏は日本とは仲良くやってくれる?)「その辺はどうでもいいかな…」

【“ハリス”推し】「演説聞いてて、やっぱりこちらの女性(ハリス氏)の方が」(Q.面白いからトランプ氏が好きという人も…)「ほんと?面白いって、そんな問題違うって、国を動かす人だから」

アメリカ国内だけでなく、大阪の街でも大激戦となったアメリカ大統領選挙ですが…。

大阪ではハリス氏に軍配が上がりました!

それでも接戦といったところでしょうか。

■トランプ氏支持の大富豪イーロン・マスク氏が112億円献金

そんな「関西の激戦州」から、およそ1万キロ離れた「本場・アメリカの激戦州」では。

【記者リポート】「アリゾナ州のトランプ氏の演説会場前です。熱狂的なサポーターがすでに集まっています」

メキシコに接し、移民問題が大きな争点となっているアリゾナ州で、トランプ前大統領が支持を訴えました。

【共和党 トランプ前大統領】「11月5日に私が勝利すれば、移民の侵略は終わり、わが国の復興が始まる」

こうした政策に共感し、いまトランプ前大統領を強く押し上げている存在が、起業家で世界有数の富豪イーロン・マスク氏です。

【トランプ氏支持 実業家 イーロン・マスク氏】「私はただのMAGAではなく、ダークMAGA(熱烈なトランプ支持者)です。ここにいられて光栄です」

マスク氏は7月にトランプ前大統領への支持を表明して以降、集会に参加するなど支援を続けています。

さらに自身が設立したトランプ前大統領を応援する、政治資金管理団体「AMERICAPAC」に7500万ドル=日本円で112億円あまりを献金したことも明らかに。

■激戦州で署名をした有権者を紹介したら1人7000円の謝礼金 署名活動する母子を取材

その多額の献金は、一体どこに流れているのか。

アリゾナ州の演説会場で、FNNの取材班が目撃したのは。

【オリバー君(13)】「皆さん、聞いて下さい。これは私たちの表現の自由と、銃所持の権利を守るためにトランプ氏を支援するマスク氏の嘆願書です。署名をお願いします」

マスク氏が呼びかけた、「言論の自由と銃所持の権利」を支持する嘆願書への署名を集めていたのは、13歳のオリバー君と母親のアニーさん。

この嘆願書はトランプ氏の政策と重なっていて、マスク氏は、激戦州で署名をした有権者を紹介した人に1人につき47ドル、およそ7000円を支払うと発表しました。

2人の署名活動の目的は、その謝礼金なのです。

(Q.いくら欲しいですか?)
【オリバー君(13)】「5000ドル(75万円)から1万ドル(150万円)くらいかな」

こうした署名に賛同した有権者は、トランプ前大統領への投票に結びつく可能性が高く、マスク氏はこれらの名前や住所などを活用し、トランプ前大統領を側面支援する狙いがあります。

親子は4時間ほどで、550人分の署名を集めました。

認められれば、およそ390万円を受け取れる計算です。

さらにマスク氏は10月19日から、署名した人の中から「毎日1人に100万ドル=およそ1億5000万円を授与する」と発表しました。

こうした一連の手法に、違法性を指摘する声も出ています。

アリゾナ州は過去5回の大統領選挙で、共和党が4回勝利しましたが、前回はトランプ前大統領がわずか1万票差で敗北したため、陣営にとっては重要な場所。

しかし、民主党支持者が多い隣のカリフォルニア州から、住宅代の高騰などを背景に、毎年およそ7万人が移住しています。

【カリフォルニアからの移住者】「ハリス副大統領に投票する予定です」

■マスク氏の過激な発言に呼応する事件が発生

そんな状況の中、トランプ前大統領を支持するマスク氏が選挙戦に投下したのは、巨額のお金だけではありません。

【記者リポート】「こちらがアリゾナにあるハリス副大統領の事務所です。過激なマスク氏の発言に呼応するかのように、銃弾が撃ち込まれました」

イーロン・マスク氏は9月、「誰もバイデン大統領やハリス副大統領を暗殺しようとさえしない」という不穏な書き込みをXに投稿。

すると、その数時間後、ハリス副大統領の事務所にBB弾が撃ち込まれたのです。

その1週間後には、本物の銃弾が。さらに10月6日にも再び銃弾が撃ち込まれる事態となっています。

過激な発言と影響力の大きさがよく似たマスク氏とトランプ前大統領。

マスク氏が政治的影響力をさらに強める社会を、有権者が望むかどうかも争点の1つとなっています。

■熱気高まる大統領選 著名人の支持や若者の関心

現地でアメリカ大統領選を取材する、ロサンゼルス支局の水本記者が報告します。

【関西テレビ ロサンゼルス支局 水本記者】「 日本の選挙とは違って、とにかく著名人が目立ちますね。テイラー・スウィフトさんがハリス副大統領の支持を訴えたり、ジョージ・クルーニーさんがバイデン大統領の出馬の取りやめを求めたりしました。さらにイーロン・マスクさんがトランプ氏を熱烈に支持していて、大統領選挙はかなり熱気を帯びています。

投票率も前回は66%と高かったですし、日本の選挙と比較すると、若い世代も含めて国民の関心はとても高いように感じています」

ハリスさんとトランプさん、どちらが勝つのかが注目されていて、世論調査では今、僅差でハリスさんがリードしているということですが、現状はどうでしょうか?

■マスク氏の「お金ばらまき作戦」でトランプ氏を支援 激戦州でリード

【関西テレビロサンゼルス支局 水本記者】 「事実上、勝敗を決めることになるのが7つの激戦州と呼ばれる地域です。そこでは現在、すべてトランプ氏が僅差でリードしているんです。アメリカ大統領選は一部の州を除いてほぼ全ての州が勝利した候補が、その州の選挙人を総どりする仕組みで、過去の選挙結果から民主党を支持するブルーステートと共和党を支持するレッドステートに分かれていて、結果はほぼ予測できます。投票先が揺れる7つの州の行方で、次の大統領が決まると言われていて、7つの州で今、トランプ氏がすべて僅差でリードをしているんです。

そして、立役者がイーロン・マスク氏です。まさに『お金ばらまき作戦』で署名者を紹介したら、日本円で7000円、署名者からは毎日1億5000万円が当たる、そんな露骨な方法でトランプ氏を押し上げています。当初は候補者以外ではテイラー・スウィフトさんの発言などがニュースを賑わせていましたが、今はマスク氏一色で現地のニュースは Musk’s Shock とも言っています」

■民主党離れのマスク氏 トランプ支持に急転換

【関西テレビ 神崎 博 報道デスク】「マスクさんはこれまで民主党の支持者で、前回の大統領選挙でもバイデンさんに投票したと言われていたんですが、なぜ急にトランプさん支持に変わったんですか? 」

【関西テレビロサンゼルス支局 水本記者】「イーロン・マスクさんはもともと民主党を支持して、これまでずっと投票していたことも公言されているんですが、最初のきっかけとなったのが、2021年にバイデン大統領が自動車会社の幹部を集めて電気自動車の未来の目標などを話し合った会議を開いたときに、当時、アメリカの電気自動車のほとんどのシェアを誇っていたテスラ社が呼ばれなかったことに激怒したことから始まりました。
これはバイデン大統領がマスク氏に声を掛けなかったのは、民主党を支持している自動車の労働組合にテスラ社が加盟していなかったことが理由だとされていて、ここからバイデン政権と亀裂が入っていきました」

【吉原キャスター】「マスクさんがこれだけトランプさんに熱烈に支援をするっていうのは、それだけのメリットがあるってことなんでしょうか? 」

【水本記者】「今年に入ってマスク氏とトランプ氏は会食していて、2人の距離は近づいています。そして、トランプ氏は大統領に返り咲いた際にはマスク氏を政策顧問や目玉政策のトップなど要職での起用を約束しているんです。ただマスク氏が、バイデン大統領はハリス副大統領を誰も暗殺をしないと投稿すると、実際にハリス副大統領の事務所に銃弾が撃ち込まれるなど影響力が大きいだけに、第2次トランプ政権が誕生した際には、外交場面などでヒヤリとすることは増えるかもしれません」

■「金ばらまき」違法性指摘の可能性も…

マスクさんのお金をばらまくやり方は、選挙法違反にはあたらないんでしょうか?

【菊地幸夫弁護士】「お金を支払う理由が、マスク氏が主張している表現の自由、銃所持の自由で権利に賛成してくれる方ということで、トランプ氏に投票してくれとは言ってはいないんですよね。

ただ、同じような会場でお金のバラマキ活動をする、あるいは資金的な活動しているマスク氏がトランプ氏と演説会場などで密にコンタクトを取っているということで、トランプ氏への集票活動とかなり密接と見れば、投票依頼や有権者登録など、金銭で誘導することはアメリカの法律で禁止されているので、『違反だ』という声が出てくることは避けられないでしょう」

【吉原キャスター】マスクさんの行為を問題視する動きはあるんでしょうか?

【水本記者】 「まさにグレーゾーンで行われていることなので、24日のニュースでは、司法省が違法の可能性があるとして、アメリカPACに書簡を送って警告したという報道が出ています。ただ、あくまで違法の可能性がある、司法省も『違法』だと明言しているわけではありません。アメリカPACもまだ署名のホームページは開ける状態になっていて、マスク氏がこのようなバラまき政策をこれから控えるのかどうかは今のところは未知数です」

トランプさんの再選になるのか、それとも女性初の大統領誕生になるのか、アメリカ大統領選の投票日は11月5日です。

(関西テレビ「newsランナー」2024年10月24日)

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