原油市場ではイランとイスラエルの報復の応酬が買い材料となっていた=ロイタ

【ヒューストン=花房良祐】米国市場で28日、原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は期近の12月物で、前営業日と比べ約6%安の1バレル67.38ドルで取引を終えた。イスラエルがイランの石油施設と核施設を攻撃しなかったことで供給不安が後退した。

イランは1日、イスラエルを弾道ミサイルで攻撃し、イスラエルが報復を宣言した。石油施設や核施設も報復対象の選択肢に含まれ、実施に踏み切れば応酬が止まらなくなる恐れがあった。バイデン米政権も原油相場に上昇圧力がかかるイラン石油施設などへの攻撃を思いとどまるようイスラエルに要請していた。

26日にイスラエルが実施した実際の報復はイランのミサイル製造施設などへの空爆に限定された。これに対するイラン政府の批判は抑制的なものと受け止められ、原油市場で中東の「地政学プレミアム」が剝落する格好となった。

需要面では経済が弱含む中国の原油消費の先行きに注目が集まっている。プライス・フューチャーズ・グループのフィル・フリン氏は「イスラエルのイラン攻撃の不透明要因がなくなったことで、市場は原油需給のファンダメンタルズ(基礎的要因)に集中できるようになった」と指摘している。

【関連記事】

  • ・欧州市場の主要指標11時半 欧州株、上値重い 原油先物が下落
  • ・イラン、反撃を「留保」 代理勢力弱まり狭まる選択
  • ・米国、イスラエルの報復「相応」 イランに自制要求

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。