マスク氏が100万ドル配布 州検察“違法な宝くじ”
路上の投票箱に放火相次ぐ
4300万人以上が期日前投票
バイデン大統領も期日前投票
ハリス氏は、集会で「トランプ氏による分断と怒りの政治から脱却する必要がある」などと訴えているほか、民主党内で今も人気が高いオバマ元大統領らが激戦州に入るなどして、党を挙げて支持を呼びかけています。ハリス氏は投票日が近づく中、支持率を伸ばせておらず、党内の危機感を勢いに変えることで、最終盤での票の上積みを図りたい考えです。
これに対してトランプ氏は、バイデン・ハリス政権がインフレ対策やメキシコとの国境管理で十分な対応をとらなかったとして「ハリス氏は大統領にふさわしくない」などと批判し、支持を訴えています。ただ、トランプ氏に対しては共和党内でも距離を置く有権者が一定数いて、トランプ氏がみずからの支持層に加え、支持を広げられるかが焦点です。ハリス、トランプ両氏とも連日、激戦州に入って支持を訴えるなど、有権者への働きかけを強めていて、最終盤の攻防が激しさを増しています。
大統領選挙をめぐり、有力紙のワシントン・ポストとロサンゼルス・タイムズがこれまでの方針を転換して、恒例となっていた特定の大統領候補への支持表明をやめると明らかにし、波紋が広がっています。ワシントン・ポストは25日、ウィリアム・ルイスCEOの方針を説明する記事を掲載し、今回とこれ以降の大統領選挙では、特定の候補者への支持は表明しないと明らかにしました。その理由として、1976年より前は支持表明をしておらず、以前の方針に戻ると強調しています。一方で同じ日の記事で、論説を担当する記者たちが民主党のハリス副大統領への支持表明を準備していたものの、ワシントン・ポストのオーナーでIT大手アマゾンの創業者でもあるジェフ・ベゾス氏の判断で、記事の公開が取りやめられたと報じています。これを受けてSNSには「臆病な判断だ」などと抗議する投稿が相次ぎ、公共ラジオ「NPR」は28日の時点で、20万人以上が電子版の購読を解約したと伝えています。また、ロサンゼルス・タイムズは2008年からすべての大統領選挙で特定の候補への支持表明をしてきましたが、今回は行わない方針を示しました。オーナーのパトリック・スンシオン氏は、「特定の候補を選べばすでに深まっている国の分断が悪化するおそれがある」と説明していますが、この決定に反発してロサンゼルス・タイムズの論説主幹が辞任したということです。2つの有力紙が投票日を目前に控えて方針を転換したことへの賛否はわかれ、波紋が広がっています。
大統領選挙で、実業家のイーロン・マスク氏が行う署名活動に応じた有権者を対象に抽せんで毎日1人に100万ドルを配っていることについて、東部ペンシルベニア州の検察は28日、「違法な宝くじにあたる」などとしてマスク氏側を提訴しました。マスク氏は共和党のトランプ氏を支援するため、みずから立ち上げた政治資金団体を通じて、言論の自由と武器所持の権利を支持する署名に応じた有権者の中から、投票日まで毎日抽せんで1人に100万ドル、日本円にして約1億5千万円を配るキャンペーンを行っています。対象地域は大統領選挙の結果を左右するとされる7つの激戦州で、アメリカのメディアは、有権者登録などの見返りに報酬を支払うことは選挙違反の疑いがあると、司法省がマスク氏側に警告したと伝えています。激戦州の1つ、ペンシルベニア州のフィラデルフィアの検察は28日、「違法な宝くじにあたる」などとして、キャンペーンの中止を求めてマスク氏と政治資金団体を提訴し、「選挙への干渉から市民を守る責務がある」とする声明を発表しました。提訴について、マスク氏側はこれまでのところ、コメントを出していません。
大統領選挙の投票日が近づく中、郵便投票のために路上に設置されている投票箱に火がつけられるなど、放火事件が相次いでいます。このうち西部ワシントン州バンクーバーでは、28日の朝、日本の郵便ポストのような形の投票箱から煙が上がっているのが見つかりました。アメリカABCテレビが直後に撮影した映像では、駆けつけた警察官が投票箱を開けてかき出した投票用紙が、ほぼ燃え尽きている様子が確認できます。前日の27日朝以降に投函されたおよそ数百枚の投票用紙のほとんどが、焼失したとみられるということです。この少し前には、隣のオレゴン州ポートランドでも投票箱の一部が焼けて投票用紙3枚が損傷し、警察は防犯カメラの映像などから、火が出る直前に投票箱の横に車を止めた人物が相次いで火をつけたとみて、放火事件として調べています。地元の当局は該当する有権者に対しては、再度、投票用紙を配布することにしています。今月24日にも西部アリゾナ州フェニックスで郵便ポストが焼けて複数の投票用紙が損傷する放火事件があり、警察によりますと、容疑者の35歳の男は火をつけたことは認めているものの、政治的な動機はないということです。
全米の期日前投票の状況を分析しているフロリダ大学の研究グループによりますと、10月28日の時点で、すでに4300万人以上が郵便または直接、投票所で投票したということです。投票した人の内訳を、事前に登録した支持政党別に見ると、民主党が40%共和党が36.2%、「支持政党なし」などが23.8%と、民主党の支持者による投票がやや多くなっています。ただ、前回2020年の大統領選挙の期日前投票全体では、民主党が44.8%共和党が30.5%で、今回は前回よりも投票者に占める共和党の支持者の割合が高くなっています。背景には、共和党の大統領候補のトランプ前大統領が、前回の選挙では「不正につながる」などとして郵便投票に反対していましたが、今回は選挙戦を通じて期日前投票を呼びかける姿勢に転じていることも、関係しているとみられます。激戦州の投票者の支持政党を見ると、東部ペンシルベニア州では民主党が59.4%、共和党が30.4%と、民主党支持者の割合が2倍近くになっています。一方、西部アリゾナ州では民主党が35.1%、共和党が41.9%などとなっているほか、西部ネバダ州や南部ノースカロライナ州でも共和党支持者の割合が、高くなっています。前回の大統領選挙では、1億人以上が期日前に投票しましたが、アメリカメディアは、当時はコロナ禍で多くの有権者が郵便投票を希望していたため、今回の選挙とは比較が難しいと伝えています。
バイデン大統領は28日、地元のデラウェア州で期日前投票を行いました。投票所で有権者の列にならび、順番がくると黒い布で囲われたブースで投票しました。
投票のあと、記者団からハリス副大統領が勝利するかと質問されたのに対し「私たちは勝つと思う」と述べて自信を見せました。そしてトランプ前大統領について「私が話をした大統領を研究している学者のほとんどが、最も重要なことは人格だと話していた。トランプ氏は口を開くたびにその適性を疑わしく思わせる」と述べて批判しました。
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