レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは29日、イスラエル軍の空爆で殺害された最高指導者ナスララ師の後継に、ナイム・カセム師を選出したと声明で発表した。イスラエル軍との戦闘が続く中、指導体制を再構築するとみられる。

 ロイター通信によると、カセム師は30年以上、ヒズボラの中心人物だった。1982年のヒズボラ設立につながる会議に参加。1991年からは、ヒズボラのナンバー2を務め、主に組織の対外発信を担ってきた。

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 ヒズボラ指導部をめぐっては、今年9月27日、イスラエル軍によるベイルート南郊への空爆で、長年ヒズボラを率いてきたナスララ師が死亡。10月に入り、同師のいとこで、後継とみられていたサフィエデン師も、イスラエル軍の攻撃で殺害された。

 ヒズボラの指導体制が大きな打撃を受けるなか、長年、ナスララ師を支えてきたカセム師に白羽の矢が立った。カセム師は、イスラエルとの戦闘を続ける意向で、今月8日のビデオ演説では「我々の能力は充実しており、前線に戦闘員を配備している」と述べた。

 現在、イスラエル軍によるレバノン南部への侵攻は約1カ月にわたって続いており、民間人を含む犠牲者が急増している。レバノン保健省によると、昨年10月以降、計2710人が死亡した。ヒズボラ側も、イスラエル北部を中心にロケット弾やドローン(無人機)による攻撃を繰り返している。(今泉奏)

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