NEW
ロシア 軍事演習開始 核戦力誇示で欧米などを強くけん制か
ウクライナと韓国 緊密に情報交換など協力強化へ
米バイデン大統領 北朝鮮部隊のロシア派遣「懸念している」
ロシアのプーチン大統領は29日、核兵器の搭載が可能な弾道ミサイルの発射などの軍事演習を開始したと明らかにし、核戦力を誇示することで対立を深める欧米などを強くけん制する狙いがあるものと見られます。プーチン大統領は29日、「戦略的抑止力の訓練を開始する。弾道ミサイルと巡航ミサイルを実際に発射する」と述べ、核兵器の搭載が可能な弾道ミサイルなどの軍事演習を開始したと明らかにしました。その上で「地政学的な緊張が高まり、新たな外的脅威やリスクが出現してきていることを考えると、戦略兵力は近代的で、常に戦闘に使用できる状態で保有しておくことが重要だ」と述べ、演習の意義を強調しました。
ロシア国防省は29日、演習の結果を発表し、ロシア北部のプレセツク宇宙基地から大陸間弾道ミサイル「ヤルス」を発射したほか、北西部のバレンツ海やオホーツク海の原子力潜水艦から弾道ミサイル「シネワ」と「ブラワ」を発射したなどとしています。ロシア国防省は「演習で想定した任務は完全に達成され、すべてのミサイルが目標に到達した」として成果を強調しました。ロシア大統領府のペスコフ報道官は、今回の演習は事前に計画された定期的なものだとしていますが、核戦力を誇示することでウクライナ情勢をめぐって対立を深める欧米などを強くけん制する狙いがあるものと見られます。
北朝鮮の部隊のロシアへの派遣をめぐってウクライナのゼレンスキー大統領と韓国のユン・ソンニョル大統領が電話会談を行い、両国の間で代表団を派遣しあい、緊密に情報交換するなど、協力を強化していくことにしています。ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、韓国のユン・ソンニョル大統領と電話で会談し、北朝鮮の部隊がロシアに派遣されていることなどについて協議したとSNSで明らかにしました。ゼレンスキー大統領は「結論は明確だ。この戦争は国際化している」と強調した上で北朝鮮の部隊の3000人が戦闘地域に近いロシアの訓練施設に配置され、その数が今後、およそ1万2000人にまで増えるとの見方について情報を共有したとしています。そして、「われわれはこの状況に対する戦略を策定するため、情報や専門知識の共有を強化することで合意した」として、両国の間で近く、代表団を派遣しあう予定だと明らかにしました。また、韓国大統領府によりますと、ユン大統領は「北が特殊部隊の派兵という危険で前例のないことを進めている」と批判した上で、代表団の派遣を通じて緊密に情報交換するなど、協力を強化していく考えを伝えたということです。一方、韓国の国家情報院は29日、国会議員への報告の中で、ロシアに派遣された北朝鮮の兵士について、多くは20代前半で、一部は10代後半だとみられると説明したということです。また、国家情報院は、北朝鮮の部隊の一部がウクライナとの戦線に移動した可能性があるとした上で、北朝鮮のキム・ジョンウン総書記の側近とされる、朝鮮人民軍総参謀部のキム・ヨンボク副総参謀長も戦線に移動しているという情報があり、確認を進めていると明らかにしたということです。
アメリカのバイデン大統領は、北朝鮮の部隊のロシアへの派遣について、29日、記者団に対して「懸念している」と述べました。その上で「ウクライナ軍は北朝鮮の部隊を攻撃すべきか」と問われ、バイデン大統領は「彼らがウクライナに入った場合はそうだ」と述べ、北朝鮮の部隊がウクライナ領内での戦闘に参加すれば、標的になるという考えを示しました。また、国防総省のライダー報道官は、29日の記者会見で「北朝鮮の少数の部隊はすでにクルスク州に入っているようだ。さらに数千人がまもなく到着するだろう」と述べ、ウクライナ軍による越境攻撃が行われているロシア西部のクルスク州に北朝鮮の部隊の一部が到着しているという認識をアメリカ政府としても示しました。また、ライダー報道官は「現時点で、北朝鮮の部隊がウクライナ側に入っていることを裏づける情報はない」としたうえで、今後も関係国とともに動向を注視する考えを示しました。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。