【ワシントン=浅井俊典】5日投開票の米大統領選で、1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」と呼ばれる若者の投票動向に注目が集まっている。2020年の前回大統領選はリベラルな若者票がバイデン大統領の当選を後押ししたとされ、民主党候補ハリス副大統領(60)は再現を狙う。対する共和党候補トランプ前大統領(78)も、自身の主張に共鳴する若い男性票の掘り起こしを進める。

◆20歳のメキシコ系学生はハリス氏に1票

米ワシントンにあるジョンズ・ホプキンズ大キャンパスで大統領選について話すアラン・ペレズさん=浅井俊典撮影

 ジョンズ・ホプキンズ大で公衆衛生を学ぶアラン・ペレズさん(20)は10月下旬に地元のニューヨークに帰った際、期日前投票でハリス氏に票を入れた。「自分たちはこれから家族を持つ世代。ハリス氏は未来に目を向けているのが良い」と話す。  両親はメキシコ出身で、移民に寛容な政策をとる民主党支持の家庭で育った。大学でも、若者の関心が高い気候変動対策や人工妊娠中絶の権利擁護を重視するハリス氏支持の学生が多いという。

◆「Z世代」、有権者は4100万人で全米人口の1割

 90年代半ばから2012年ごろに生まれた「Z世代」の有権者は約4100万人で、米国全体の有権者の約2割を占める。幼少期から自然災害などを見聞きする機会が多かったためか環境問題や気候変動対策に関心が高い世代とされ、近年は投票率が上がりつつある。  実際、フロリダ大の分析によると前回20年の大統領選では18~29歳の投票率が約52%と16年より約9ポイント上昇し、バイデン氏の勝利に貢献したとされる。ハリス氏の陣営も、若者をターゲットにしたネット広告や大学のキャンパスツアーを実施し、投票を呼びかける。

◆トランプ氏、人気ポッドキャストに出演しアピール

カマラ・ハリス氏(左、8月撮影)とトランプ氏(7月撮影)

 ハーバード大ケネディ行政大学院がZ世代を含む全米の18~29歳を対象とした10月の調査によると、有権者登録を済ませた回答者のうち、ハリス氏支持は53%で、トランプ氏の33%を20ポイント上回った。  一方、ハーバード大の調査を東部ペンシルベニア、南部ジョージアなどの激戦7州に絞ると、支持率はハリス氏50%、トランプ氏41%に縮まる。複数の激戦州があるラストベルト(さびた工業地帯)では製造業が衰退して非大卒の男性が多く、生活への不安などからトランプ氏の経済政策に期待する若者が多いとみられる。  トランプ氏は、こうした若い男性が好む「力強い男性リーダー像」を集会などで演出。人気のポッドキャスト番組にも出演するなどして支持拡大を図っている。 

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