イスラエル国会が10月、パレスチナ難民への人道支援を担う国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の国内活動を禁止する法案を可決したのを受け、イスラエル外務省は3日、UNRWAとの協力関係の解消を国連に正式通告した。

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 同省は国連総会議長宛ての通告で、「(UNRWAの活動を定めた)1967年の協定の合意から離脱する」と表明。その上で、「他の国連機関を含めた国際的なパートナーと協力し、パレスチナ自治区ガザへの人道支援を続けていく」と述べた。

 イスラエルは、昨年10月のイスラム組織ハマスの越境攻撃にUNRWA職員が関与したと反発してきた。先月28日、国会がUNRWAの国内活動を禁じる法案を賛成多数で可決。パレスチナ自治区などはイスラエルが占領し、UNRWAは活動に必要なイスラエル側の許可が得られないため、物資の配給や医療などの人道支援が制限される恐れがある。

 イスラエルのダノン国連大使は4日、X(旧ツイッター)で、「我々はハマスによるUNRWAへの関与を立証する証拠を提出してきたが、国連は何も是正しなかった」と批判した。

イスラエル軍、シリアで地上作戦

 またイスラエル軍は3日、シリアにおける地上作戦で、イランの「テロネットワーク」に工作員として協力していたシリア人男性を拘束したと発表した。同軍は、男性が「テロ活動に備え、国境地域でイスラエル軍の情報を収集していた」としている。AP通信によると、昨年10月以来、イスラエル軍がシリア国内で作戦を実行するのは初めて。

 先月下旬、イスラエルは敵対するイランの軍事施設などを攻撃し、イランからの再報復の懸念が高まっている。(エルサレム=笠原真)

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