◆ヒラリー・クリントン氏の敗北を教訓にして
選挙戦最終盤の10月29日、首都ワシントンでの演説で、党派や性別、人種を超えた「すべての米国人のための大統領になる」と訴えたハリス氏。16年のクリントン氏とは異なり、選挙戦では女性候補であることを前面に打ち出すのを避けてきた。女性候補であることを前面に打ち出すのを避けてきたハリス氏=8月、米シカゴの民主党大会で
背景には「政治は男性の仕事」という偏見がいまだに米国に残り、「ガラスの天井」の打破を強調したクリントン氏が強い風当たりを受けて敗北した教訓がある。ハリス氏は自らの性別や人種などの属性についてはあえて語らず、人工妊娠中絶の権利擁護など政策を訴えた。合わせて検事としての実績を強調。強さもアピールすることで幅広い層からの支持獲得を狙った。◆「女性だから選ばれた」という攻撃にさらされ
しかし共和党の一部は、ハリス氏を女性だから選ばれた「DEI(多様性・公平性・包括性)候補」だと攻撃し、偏見を助長した。不法移民対策を担う副大統領としての実績の欠如や、バイデン政権での経済施策に対する有権者の不満も、ハリス氏への足かせになった。ハリス氏(左)とティム・ウォルズ氏。庶民的な白人男性との組み合わせでエリート色の払しょくを図ったが…=8月22日、米シカゴの民主党大会で
民主党の伝統的な支持層である若者と黒人票の獲得でも苦戦した。若年層では、高学歴化の進む女性がリベラルなハリス氏を支持する一方、女性の進出によって自分たちが取り残されていると感じる非大卒の男性らが、トランプ氏の「力強い男性リーダー像」に共感。世論調査では女性の支持でハリス氏が30ポイントもリードしたのとは対照的に、男性はほぼ互角に持ち込まれた。黒人初の大統領となったオバマ氏の支援も受けたが、「男らしさ」を重視する傾向があるともされる黒人男性の支持も伸び悩んだ。 インディアナ大のクリスティ・シーラー教授は「ジェンダーを巡る障壁は依然として高い。それが非白人の女性であればなおさらだ」と指摘した。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。