《アメリカ国内反応》
《世界各国反応》
《専門家 トランプ氏 日本との関係は》
アメリカ大統領選挙は5日、投票が行われ、共和党のトランプ前大統領が、民主党のハリス副大統領を破って勝利し、4年ぶりの政権奪還を決めました。投票日翌日の6日、トランプ氏は、未明に勝利演説を行ったあと公に姿を見せていませんが、AP通信によりますと、祝意を示す各国首脳からの電話への対応に追われたということです。アメリカでは次の大統領のもとで政権移行チームが立ち上がり、来年1月20日の大統領就任式までのあいだに閣僚などの次期政権の人事や政策の調整などを行うことになっています。政治専門サイト「ポリティコ」は6日、投票が締め切られた後、12時間後には2期目のトランプ政権発足に向けて移行チームが動き始めたと伝えています。政権移行チームは、▽トランプ氏の友人で、実業家のハワード・ルトニック氏と▽保守系のシンクタンクのトップ、リンダ・マクマホン氏が率いていて、人事の調整や政権の初日から打ち出す政策の検討を進めるということです。今後、政権移行に向けた動きが本格化していくことになります。
また、「ポリティコ」によりますと、▽選挙戦でトランプ氏を支持した実業家のイーロン・マスク氏や▽FOXニュースの元看板キャスターのタッカー・カールソン氏が投票日翌日の6日、南部フロリダ州のトランプ氏の自宅にいたということで次期政権で要職に就くことになるのか注目されています。
アメリカ大統領選挙でトランプ前大統領が勝利したことを受けて、アメリカのメディアはバイデン政権がウクライナヘの軍事支援を在任中にできるだけ進めようとしていると伝えました。新しいトランプ政権のもとでウクライナ支援がどこまで継続するか不透明なことが背景にあるとみられます。アメリカの大統領選挙でトランプ前大統領が勝利したことを受けて、アメリカの政治専門サイト「ポリティコ」は6日、複数の政府高官の話として、バイデン政権がこれまでに議会が可決したウクライナヘの軍事支援のうち、残っている60億ドル以上に相当する支援を在任中に急いでウクライナに送る計画を立てていると伝えました。トランプ氏はバイデン政権によるウクライナ支援に批判的な姿勢を見せていたこともあり、新たなトランプ政権のもとで、ウクライナ支援がどこまで継続するか現時点で不透明なことが背景にあるとみられます。一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、SNSで7日、トランプ氏と電話会談し、緊密な対話を続けて協力を前に進めることで一致したと明らかにしました。そして「アメリカの強力で揺るぎない指導力がこの世界と公正な平和のために不可欠だ」としています。ゼレンスキー大統領は6日に行ったビデオ演説でもトランプ氏の勝利を祝福した上で「『強さによる平和』が次のアメリカ大統領の政策の基本方針となるなら、アメリカや世界全体が間違いなく恩恵を受けることになる」と述べて期待を示しています。
ハリス氏は投票日翌日の6日夕方、首都ワシントンにある、みずからの出身校、ハワード大学に姿を見せました。そして、集まった支持者からの声援に対し、笑顔で手を振って応えたあと、演説を行いました。この中で、ハリス氏が「多くの人が暗黒の時代に突入したと感じているのは知っています。そうでないことを願っていますが、もしそうだったとしても輝く星の光で空を満たしましょう」と語りかけると支持者からはひときわ大きな声援があがりました。
演説が終わると、会場では支持者や陣営のスタッフが涙を流しながら抱き合う姿が多く見られました。支持者の男性のひとりは「ハリス氏は選挙戦の最後を締めくくるスピーチでとても前向きな考え方を示してくれた。選挙結果に悲しんでいるが、あすに関して楽観的だし希望を抱いている」と話していました。また、80歳の女性は「ハリス氏のことばを聞き、平和的な政権移行は、バイデン大統領や彼女だけでなく、私たち全員がサポートすべきことだと思い出させてくれて、勇気づけられた気がします」と話していました。
アメリカのホワイトハウスは大統領選挙の結果について6日、バイデン大統領の声明を発表しました。この中でみずからが再選を目指していた選挙戦で撤退を表明したことにより民主党の大統領候補が急きょ、ハリス副大統領となったことなどを念頭に「異例の事態の中、立ち上がり、歴史的な選挙運動を率いた」とハリス氏をたたえました。その上で、「彼女は目的と決意、そして喜びを持って闘い続けるだろう。何よりも、アメリカの未来に影響を与え、何世代にもわたって子どもたちが尊敬するリーダーであり続けるだろう」としています。バイデン大統領は7日、国民に向けて演説することにしています。
民主党のオバマ元大統領は6日、夫人のミシェル・オバマ氏とともに声明を発表しました。このなかで「結果は出ている。私たちはトランプ氏とバンス氏の勝利を祝福したい」としてトランプ氏に祝意を示しました。その上で「この結果は明らかにわれわれが望んでいたものではない。アメリカはこの数年間、歴史的なパンデミックやそれにともなう価格の高騰などを経験してきた。これらの状況が逆風を作り出した」として、新型コロナの感染拡大や現在の経済状況がハリス氏への厳しい結果につながったという認識を示しました。また「進歩を遂げるには、意見が一致しない人にも信頼や寛大さを示すことが求められる。それこそが、これまで歩んできた道のりであり今後もわれわれがより公平で正しく、より平等で自由な国をつくり続けるためにすべきことだ」としています。
大統領選挙の激戦州となった東部ペンシルベニア州の第2の都市、ピッツバーグでは、トランプ前大統領の支持者から経済対策などを期待する声があがる一方、ハリス副大統領の支持者からは不安感や落胆の声が聞かれました。トランプ氏は、激戦州のなかでも選挙人が最も多い東部ペンシルベニア州を制したことで、勝利に大きく近づきました。トランプ氏に投票したという43歳の男性は「私は建設業で働いている中間層の労働者だが、トランプ氏が私たちのような人たちのために減税をしてくれると信じている」と期待していました。一方、民主党のハリス副大統領に投票したという22歳の女性は「とてもショックで、打ちのめされた気持ちだ。私も友人も泣いた。人工妊娠中絶など女性の権利に否定的で恐怖を感じるし、何もいいことはない」と不安を抱いていました。
また、西部アリゾナ州にあるメキシコとの国境の町、ノガレスは出入国のための検問所があり、人口のほとんどがヒスパニック系住民です。その住民で、トランプ氏に投票したという男性は「私たちの国には強いリーダーが必要です。国を繁栄させるための考え方を備えた強い人間が必要なのです」と述べた上で、トランプ氏が掲げる国境管理の強化について「私自身も移民ですが、正しい手続きを踏むことが大切だと思います。私はアメリカの市民権を得るのに12年がまんしましたが、実現しました。どの国においても人々が法を守ることは必要です」と話しました。
また、国境の検問所近くで雑貨店を営んでいる男性は「トランプ氏の言うようにアメリカを偉大にしてほしいです。彼が約束を守り、生活が上向き、ビジネスもよくなることを期待しています」と述べました。さらに、国境のフェンスの近くに住んでいて今回は投票しなかったという女性は「周りの人はトランプ氏を支持していたので今のところよかったのではないかと思います。個人的にはどちらの候補も好きになれませんでした。私はここで育ちましたが安全だと感じています」と話していました。
石破総理大臣は、アメリカ大統領選挙に勝利し、再び就任することになったトランプ氏と電話で会談し、祝意を伝えた上で、できるだけ早期に対面での会談を行うことを確認しました。石破総理大臣とトランプ氏の電話会談は、7日午前9時半ごろから、およそ5分間行われました。この中で、石破総理大臣は「今回の勝利に心からお祝いを申し上げる。『アメリカを再び偉大に』という訴えが、多くのアメリカ国民の賛同を得たことに敬意を表する」と述べ、祝意を伝えました。これに対し、トランプ氏は「会って話をすることを楽しみにしている」と応じ、両氏は、できるだけ早期に対面での会談を行うことを確認しました。また、新たな政権のもとで日米同盟をより高い次元に引き上げていくことで一致しました。このあと石破総理大臣は記者団に対し「話をしたのは初めてだが、フレンドリーな感じがした。これから先、ことばを飾ったり、繕ったりするのではなく、本音で話ができる方だという印象を持った」と述べました。一方、記者団から、トランプ氏が防衛費の増額などを求めてきた場合の対応を問われ「負担をどうしていくべきかは、金銭的、能力的な問題に加え、オペレーションをどうしていくかということもある。金額だけではなく、装備面や運用面などいろいろな観点から日米同盟の強化に向けて精力的に議論していきたい」と述べました。
アメリカのNSA=国家安全保障局の長官を務めたポール・ナカソネ氏が7日、都内で記者団の取材に応じ、次期トランプ政権でもサイバーセキュリティーにおける日本との協力は変わらないとの見通しを示した上で、中国によるサイバー攻撃を念頭に日米のさらなる連携強化の必要性を強調しました。記者団の取材に応じたのは、2018年5月からことし2月までアメリカのNSA=国家安全保障局の長官を務めたポール・ナカソネ氏です。ナカソネ氏は5日に投票が行われたアメリカ大統領選挙で共和党のトランプ前大統領が勝利したことを踏まえ「バイデン政権も前のトランプ政権も日本を重要な同盟国と捉えていた。次期政権でも変わることはないと思う」と述べ、次期トランプ政権でもサイバーセキュリティーにおける日本との協力は変わらないとの見通しを示しました。そのうえで「中国に対処できるようにならなければならない」と述べ中国によるサイバー攻撃を念頭に日米のさらなる連携強化の必要性を強調しました。また、サイバーセキュリティーの分野で日本が取り組むべき課題については「重要なインフラ施設を標的にした中国の動きに対処することだ」と述べ、インフラ施設を狙ったサイバー攻撃への対応力を強化するよう呼びかけました。
中国外務省は、習近平国家主席がアメリカ大統領選挙で勝利したトランプ氏に、7日祝電を送ったと発表しました。この中で習主席は「中国とアメリカは、協力すれば双方に利益をもたらし、対立すれば双方が傷つくことを歴史が示している。安定的かつ健全で持続可能な中国とアメリカの関係は、両国の共通の利益と国際社会の期待に合致する」と指摘しました。その上で、「双方が対話と意思疎通を強化し、意見の隔たりを適切に管理して、互いに利益のある協力を拡大していくことを望む」と強調しました。
中国の10月の輸出額は、主要な貿易相手の東南アジア向けなどが大きく伸びたことから、去年の同じ月と比べて12%余り増えました。ただ、アメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利し、貿易摩擦が激化することへの懸念も出ていて、先行きには不透明感が広がっています。中国の税関当局が7日発表した10月の貿易統計によりますと、輸出額はドル換算で去年の同じ月と比べて12.7%増えました。輸出額の増加は7か月連続で、主要な貿易相手の東南アジアやヨーロッパ向けが大きく伸びたことや、アメリカ向けも増えたことが主な要因です。
一方、輸入額は去年の同じ月と比べて2.3%減りました。不動産不況の長期化などを背景にした国内需要の停滞を反映しているものとみられ、輸出が中国経済を支えている構図が改めて示された形です。ただ、欧米で中国製のEV=電気自動車への関税を引き上げる動きが出ていることに加え、アメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利し、貿易摩擦が激化することへの懸念も出ていて、輸出の先行きには不透明感が広がっています。
中国外務省はアメリカ大統領選挙で勝利したトランプ氏が中国製品に高い関税を課すとしてきたことについて、「貿易戦争に勝者はおらず、世界にとっても利益にならない」としてけん制しました。アメリカ大統領選挙で勝利したトランプ前大統領は前回の任期中、中国製品に対し、最大25%の制裁関税を発動して中国との間で「貿易戦争」と呼ばれる事態にまで発展し、今回の選挙期間中も中国製品に高い関税を課すとしてきました。これについて、対応を問われた中国外務省の毛寧報道官は7日の記者会見で、仮定の質問には答えないとしながらも、「原則として、貿易戦争に勝者はおらず、世界にとっても利益にならない」と述べ、トランプ氏をけん制しました。また、中国が統一を目指す台湾については、「台湾問題は中国とアメリカの関係において最も重要かつ敏感な問題で、中米関係と台湾海峡の平和と安定に深刻な損害を与えないよう慎重に対処すべきだ」と述べた上で、「1つの中国」の原則を守るよう求めました。トランプ氏は選挙期間中、アメリカメディアの取材に対して「中国が台湾に侵攻すれば150%から200%の関税を課す」と述べて、中国をけん制する姿勢を示していました。
韓国大統領府はユン・ソンニョル大統領が、アメリカ大統領選挙で勝利したトランプ氏と7日朝、電話で会談したと発表しました。会談は10分あまり行われ、ユン大統領は「トランプ氏のリーダーシップで偉大なアメリカを導いていくことを願っている」と祝意を示しました。また、両氏は、ウクライナに軍事侵攻を続けるロシアへの北朝鮮の派兵をめぐって意見を交わしたほか、北朝鮮が推し進める核・ミサイル開発について憂慮を示したということです。さらに、ユン大統領は、バイデン政権のもとで深まった日米韓3か国の連携について、前のトランプ政権の間に3か国の協力を強固にさせたとしてトランプ氏の貢献を評価しました。その上で、両氏は早期に対面で会談することで一致したということです。このあとユン大統領は会見で、「アメリカの政権が交代するといっても100%変わるのではない。トランプ氏のもとでもアメリカと日本との3か国の協力はうまくいくと思う」と述べました。また、北朝鮮がICBM=大陸間弾道ミサイルだとするミサイルなどを相次いで発射していることについて、トランプ氏が電話会談の中で「本当に信じられない。これについてどう対応するか、近いうちに話をしよう」と述べたと明らかにしました。
アメリカ大統領選挙で共和党のトランプ前大統領が勝利したことについて、アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授に話を聞きました。前嶋教授は日本への影響について「中国による現状変更の動きやロシア、北朝鮮の動きなどを考えると、日本の安全保障環境はよくない。なんとかしないといけないという日本側のニーズを考えながら、もっと防衛費を負担するようトランプ氏側から求めてくる可能性がある」と述べました。
日本にとって、石破総理大臣とトランプ氏との関係づくりが最優先事項のひとつになるとしたうえで「日本の重要性をアメリカにしっかり説明して、理解を深めていくことが必要だと思う。安倍元総理大臣は、日本の有効性をトランプ氏に説明していた。同じことを石破総理大臣も続けていくことが必要だ」と指摘しました。
トランプ氏が日本を含む外国から輸入される製品に10%から20%の関税をかける方針を示していることについては「選挙公約でもあるのでなんらかの形で実行してくると見たほうがいいが、トランプ政権の核になるのは取り引きだ。関税以外に交渉や取り引きができないか、トランプ政権も関税引き上げの対象国も考えて動いていくことになる」と述べました。
トランプ氏がウクライナ支援に消極的な姿勢を示していることについて、「軍事支援を控えることで停戦を目指すのだと思う」との見方を示したうえで「戦闘の終結にはさまざまな交渉が必要で、ウクライナがどこまで妥協できるのかというところもポイントになってくる」と述べました。
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