【ソウル=上野実輝彦】韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は29日、革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)代表と大統領府で会談した。2022年の大統領就任以降、尹氏が李氏と会談するのは初めて。10日の総選挙で与党「国民の力」が大敗し、尹氏の独善的な政治姿勢が敗因との指摘が多かったため、意思疎通に乗り出す姿勢をアピールしたとみられる。

左から、韓国の尹錫悦大統領と野党「共に民主党」の李在明代表(いずれも資料写真)

 会談は尹氏から提案し、約2時間15分行われた。  公開された会談の冒頭で、李氏は物価高などに伴う国民の生活困窮対策や、医大生増員など医療改革推進を要求。尹氏の妻・金建希(キムゴンヒ)氏を念頭に「家族らによる疑惑の整理」を求めた。日韓関係に関しては、島根県の竹島=韓国名・独島(トクト)=や東京電力福島第1原発の処理水放出への対応について「国民の自負心を傷つけない努力が望ましい」と訴えた。  大統領府によると、会談の非公開部分で尹、李両氏は、医療改革の必要性や対話の継続で合意した。  会談に同席した共に民主党報道官によると、李氏は会談後「もどかしくて残念だった。意思疎通が始まったことに意味を見いださなくてはならない」と話した。報道官は記者団に「(尹氏には)国政を転換する意志がないように見えた」と語った。 

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