【北京=河北彬光】中国南部の広東省珠海市のスポーツセンターで11日夜、故意に暴走させたとみられる車両が次々と歩行者をはねた。地元警察は12日夜、35人が死亡、43人が負傷して病院で治療を受けていると発表した。運転手の男(62)は現場で自らを切りつけ、病院に搬送された。

◆離婚後の不満で?「無差別事件」

 在広州日本総領事館によると、被害者に日本人がいるとの情報はない。在中国日本大使館は、人が集まる場所で事件が相次いでいるとして注意喚起をした。  警察発表などによると、11日午後7時50分ごろ、男が小型のスポーツタイプ多目的車(SUV)を運転し、センター内の道路にいた人たちを次々とはねた。現場は散歩する市民が多く、本来は車が入れないが、男は無理やり敷地に進入した。男は現場で警察に取り押さえられる際に所持していた刃物で自身の首を切りつけ、意識不明だという。

◆当局はSNS投稿を次々削除

 警察は初期捜査の結果、男が離婚後の財産分与を巡る不満から事件を起こしたとも発表した。香港メディアは「無差別事件」だと報じている。習近平(しゅうきんぺい)国家主席は12日、人命救助に全力を尽くし、容疑者を厳罰に処するよう指示を出した。

中国の国旗

 中国の交流サイト(SNS)では事件に関する投稿が次々と削除され、当局が影響拡大を懸念して規制しているとみられる。珠海市では12日から国際航空宇宙ショーが始まり、各地から多くの人が訪れていた。  中国では公の場所で車を暴走させたり人を刺したりする事件が頻発し、9月には深圳日本人学校の男児が登校中に刺殺される事件も起きた。長引く経済停滞で社会の不満がたまっているとの指摘も出ている。 

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