【NQNニューヨーク=戸部実華】15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、15時現在は前日比322ドル00セント安の4万3428ドル86セントで推移している。米国の物価上昇圧力が根強く残るなか、利下げを慎重に進める姿勢を示す米連邦準備理事会(FRB)高官が増えている。10月の小売売上高など市場予想を上回る米経済指標の発表が相次ぎ、米金利の先高観が強いことも株式相場の重荷となっている。
今週発表の米物価指標は総じてインフレ圧力の根強さを示したなか、FRBのパウエル議長は14日の講演で利下げを急ぐ必要はないとの考えを述べた。シカゴ連銀のグールズビー総裁は15日朝の米CNBCの番組で、物価上昇率がかなり高いとの認識を語った。このところ複数のFRB高官が利下げを慎重に判断したい考えを示している。
市場では12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ見送りや、来年の利下げ回数が想定よりも減る可能性が意識されている。「FRBが(金融緩和に積極的な)ハト派姿勢を和らげていることが、ハイテク株を中心に株式相場の逆風になった」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との声が聞かれた。
15日朝発表の10月の米小売売上高は前月比0.4%増えた。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.3%増)以上に伸びたうえ、9月分も上方修正した。ニューヨーク連銀が同日発表した11月の製造業景況指数は31.2と、市場予想を大幅に上回った。
堅調な経済指標を受け、米長期金利は一時4.50%と6月上旬以来の高水準を付けた。その後は前日終値(4.43%)を下回る水準に戻したものの、金利が高止まりするとの見方は根強い。株式の相対的な割高感が意識され、高PER(株価収益率)のハイテク株を中心に売りが広がった。5日投開票の大統領選後に米主要3株価指数は大きく上昇した後で、主力株には利益確定や持ち高調整の売りが出やすい。
ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は大幅に4日続落している。半導体製造装置のアプライドマテリアルズが大幅安となっている。前日夕に四半期決算と同時に示した2024年11月〜25年1月期の見通しが慎重と受け止められた。
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