北朝鮮が発射した新たな脅威に対抗するアメリカの新たな力。変化する東アジアの安全保障環境を最新の映像から探ります。
ICBM火星19型は「MIRV化を狙った」米シンクタンクが分析
北朝鮮は、10月31日、最新型のICBM火星19型を発射。固体推進式の「最終完結版の大陸間弾道ミサイル」とされ、従来の火星17型や火星18型を上回り1時間半近く飛行しました。
この記事の画像(7枚)全長を長くしたことで推進剤の搭載量が増加。飛行時間が伸びたとみられます。
これまでもアメリカやヨーロッパ諸国に届く飛距離だったミサイルを上回る性能とは…。
能勢伸之特別解説委員:
アメリカのシンクタンクは「MIRV化を狙った」と分析しています。MIRVとは、1つのミサイルに複数の弾頭や囮を搭載し1個、1個の弾頭が、別々の標的を狙うミサイルを指します。
アメリカは、北朝鮮の大陸間弾道ミサイルから本土を防衛するために、GBI迎撃ミサイルを配備していますが、複数の弾頭がバラバラに飛ぶとしたらGBIでも迎撃が困難になりかねません。
空母「ジョージ・ワシントン」日米韓の共同演習に参加
ただアメリカも手をこまねいているだけではありません。
対抗策の1つは、改修を終え9年ぶりに戻るアメリカ海軍空母ジョージ・ワシントンです。横須賀を事実上の母港とするこの空母は、13日から日本海で始まった、北朝鮮の核とミサイルの抑止を念頭に行われた日米韓の共同演習に参加しました。
能勢伸之特別解説委員:
その傍らには、日米韓のフネとは異なる情報収集艦らしき艦がいました。ジョージ・ワシントンの能力は9年前と違う。だから気掛かりなのかもしれません。
搭載されている最新鋭の第5世代戦闘機F-35Cは、作戦行動半径が1100kmもあり、対馬と九州の間に空母が展開すれば、理屈の上では北朝鮮のどこにでも往復可能です。
能勢伸之特別解説委員:
F-35Cは爆弾やミサイルを機内に収納すれば、レーダーにはほとんど映らないステルス機です。敵にとっては、何もない空間に、突然、機内から放たれたミサイルや爆弾が現れる。まずは敵の「眼」をつぶし、あとはステルスを捨てパワーアップして敵に立ちはだかります。
以前からF-35はミサイルの模擬発射機破壊の試験もしていて、北朝鮮にとっては、見えない敵となりそうです。
17日、F-35Cは山口県の岩国基地に着陸しました。洋上の空母ジョージ・ワシントンや日本国内のアメリカ軍基地に配備することで北朝鮮の火星19型や極超音速ミサイルなどインド太平洋地域の脅威に対抗する存在になりそうです。
(「イット!」11月17日放送より)
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