アメリカの複数のメディアは17日、アメリカ政府当局者の話として、バイデン大統領がウクライナに対し、すでに供与した射程の長いミサイルATACMSをロシア領内への攻撃に使用することを許可したと報じました。

ロシア西部のクルスク州で越境攻撃を続けるウクライナ軍を防衛するため、ロシア軍と北朝鮮軍の部隊に対し使用される見通しだと伝えています。

これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は18日、記者団の取材に対し「本当にそのような決定がなされ、ウクライナ側に伝えられたのならば、新たな緊張の段階に入ることになる」と述べ、反発しました。

ロシアのプーチン大統領は、ことし9月、欧米が射程の長い兵器の使用を認めれば「NATO=北大西洋条約機構の国々がロシアと戦うことを意味し、紛争の本質を変える」と発言していて、報道官の発言は、欧米を強くけん制するロシアの立場をあらためて強調した形です。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は19日で1000日と長期化していて、北朝鮮がロシアに部隊を派遣して軍事協力を進展させるなか、さらに緊張が高まる可能性があります。

米大統領副補佐官「戦況に応じて政策決定と明言」

アメリカのホワイトハウスで安全保障政策を担当するファイナー大統領副補佐官は18日、訪問先のブラジルでATACMSの使用の許可に関する報道について記者団の取材に応じました。

この中でファイナー副補佐官は、報道の内容の確認は避けたものの「アメリカは戦況に応じて政策を決定すると明言してきた」と述べました。

そのうえで、判断のもととなる「戦況」について「ここ数日、数週間の外国兵力の自国領内への展開など、ロシアによる重大な事態の深刻化を含めてだ」と述べ、北朝鮮の兵力が投入されたことが、アメリカ側の判断に影響を与えた可能性を示唆しました。

さらに「状況が変化し、展開すれば、われわれの対応も変化していく。そしてウクライナ人が自国の領土と主権を守り続けることができるようにしていく」と述べて、ウクライナへの支援を継続する考えを強調しました。

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