中国 習近平国家主席“多国間主義堅持を”
中国 イギリスと6年ぶり対面で首脳会談 関係改善向け意見交わす
石破首相 英首相と初会談 経済版「2プラス2」新設で合意
石破首相 カナダ首相と初会談 “経済・安全保障分野協力で一致”
ブラジルのリオデジャネイロで18日、開幕したG20の首脳会議には、日本の石破総理大臣ら各国の首脳が出席し、初日は飢餓と貧困をテーマに討議が行われました。この中で、議長国ブラジルのルーラ大統領は「このテーブルを囲んでいる人たちは人類の汚点となる飢餓と貧困の惨劇をただちに根絶する責任を負っている」と述べ、G20が率先して行動すべきだと訴えました。
中国の習近平国家主席はこの中で、「公正な世界を構築するためには、開放的で包容力のある、差別のない国際経済協力の環境を整備し、普遍的に利益をもたらす経済のグローバル化を推進する必要がある」と述べました。そして、「多国間主義を堅持し、国連を中心とした国際システムや国際法に基づく世界秩序を守る必要がある」と述べ、貧富の格差がない世界の実現のためには、単独行動主義は避けるべきだという考えを示しました。その上で、習主席は「中国は常に『グローバル・サウス』の一員であり、発展途上国の信頼できる長期的なパートナーだ」と述べ、グローバル・サウスの国々とともに、経済発展を目指していく姿勢を強調しました。こうした発言の背景には保護主義的な政策を掲げるアメリカのトランプ次期大統領をけん制するとともに、グローバル・サウスの国々との協力関係を深めることで、アメリカに対抗していくねらいがあるとみられます。
一方、アメリカのバイデン大統領は「G20の国々は、持続可能な開発の新時代を切り開き、最も支援を必要としている人々への援助を拡大する力を秘めている。今後も前進を続けるよう強く求める」と述べ、G20の協調を崩すべきではないと訴えました。
G20の首脳会議の議長国・ブラジルは18日、首脳宣言を発表しました。それによりますと、首脳宣言には「地球規模の課題の根底には不平等がある。世界は社会的に公正で環境的にも持続可能な対策を必要としている。われわれはあらゆる次元の不平等の解消に取り組む」と明記されています。また、「途上国が世界的な危機や課題に対応し、持続可能な開発目標を達成できるようにするための支援に引き続き関与する」としています。さらに、特定の国名はあげず、「すべての国はいかなる国の領土の保全と主権や政治的独立に対して、領土獲得を目的とした武力による威嚇や武力行使を控えなければならず、民間人に対するあらゆる攻撃を非難する」と指摘しています。このほか、気候変動対策については、産業革命前に比べて世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えるよう努力することを目標に掲げた「パリ協定」をめぐって、「目標を再確認し、努力を追求する決意を繰り返し表明する」としています。G20サミットは、19日、首脳宣言をまとめ閉会する予定です
G20首脳会議に出席している中国の習近平国家主席とイギリスのスターマー首相が両国の首脳として6年ぶりに対面で会談し、停滞してきた両国関係の改善に向け意見を交わしました。イギリスは中国に対し、香港や新疆ウイグル自治区の人権問題などをめぐってヨーロッパの主要国の中でも強硬な姿勢をとってきましたが、ことし7月に誕生した労働党政権は経済成長を最重要政策に掲げ、中国と「現実路線の関係」を構築するとしています。18日、リオデジャネイロで行われた会談で、スターマー首相は「両国関係は一貫性があり、永続的で、互いに敬意を抱くものであってほしい。不測の事態を可能なかぎり避け対話を強化することで、より深く理解し合えるはずだ」と述べました。一方の習主席は「世界は激動と変革の新たな時代に突入した。われわれは貿易、投資、クリーンエネルギー、金融サービス、医療などの分野で広範な協力の余地がある」と述べました。両国が関係改善を模索する背景には、ともに重要な貿易相手国であるアメリカのトランプ次期大統領が掲げる保護主義的な政策への強い警戒感もあると見られます。
石破総理大臣は訪問先のブラジルでイギリスのスターマー首相と就任後初めて会談し、外務、経済閣僚による経済分野の協議の枠組み、いわゆる経済版「2プラス2」を新たに設けることで合意しました。石破総理大臣とイギリスのスターマー首相との初めての首脳会談はリオデジャネイロで日本時間の19日朝、およそ20分間、行われました。冒頭、石破総理大臣は就任の祝意を伝えられたのに対して謝意を示し「あらゆる分野とレベルでイギリスとの関係を強化したい」と述べました。その上で、両首脳はヨーロッパとインド太平洋の安全保障は一体だという認識を共有し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、イタリアもあわせた3か国で進めている次期戦闘機の共同開発など協力を進めていくことで一致しました。また、経済安全保障分野などでの協力を強化するため、外務、経済閣僚による経済分野の協議の枠組み、いわゆる経済版「2プラス2」を新たに設けることで合意し、来年1月以降の早い時期に初会合を開く方向で調整を進めることになりました。このほか、東アジアやウクライナなど地域情勢をめぐっても意見を交わし、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。
石破総理大臣とスターマー首相の首脳会談について、イギリスの首相官邸は声明を出し、「両国は貿易や投資、気候変動対策や安全保障など幅広い分野で高い志を共有していることを確認した」としています。そして、両国が新たに設けることで合意したいわゆる経済版「2プラス2」については「両国の成長と繁栄に不可欠な国際貿易、経済、地政学的問題における2国間協力がさらに前進することになる」とその意義を強調しました。さらに両首脳は、ヨーロッパ大西洋地域とインド太平洋地域の安全保障は切り離すことができないという認識で一致したということで、イタリアを含む3か国による次期戦闘機の共同開発についてスターマー首相は「今後何世代にもわたりイギリス国民の安全を守るために極めて重要だ」として協力を進めていくことを改めて表明しました。またウクライナ情勢をめぐってはロシアへの北朝鮮の派兵によってプーチン大統領の焦りが浮き彫りになったと指摘した上で、ウクライナへの支援をいっそう強化していくことで合意したとしています。
石破総理大臣は、カナダのトルドー首相と就任後初めて会談し、経済や安全保障の分野で引き続き協力するとともに、来年カナダが議長国を務めるG7サミットの成功に向けて、ともに取り組むことを申し合わせました。石破総理大臣とカナダのトルドー首相との初めての首脳会談はリオデジャネイロで日本時間の19日未明、およそ20分間、行われました。この中で両首脳はLNG=液化天然ガスの生産や、EV=電気自動車をはじめとした経済分野のほか、安全保障面でも引き続き協力していくことで一致しました。また、弾道ミサイルの発射を繰り返しロシアとの軍事協力を進める北朝鮮や、覇権主義的な動きを強める中国を含めた地域情勢をめぐっても意見を交わし、G7=主要7か国で緊密に連携して対応することを確認しました。
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