香港では4年前、民主派が議会にあたる立法会の選挙に向けて予備選挙を行いましたが、元議員や活動家など47人が、国家政権の転覆をはかったとして香港国家安全維持法違反の罪で起訴されました。
これまでの裁判で、弁護側は政権転覆の意図はなかったと主張しましたが、検察側は元議員らが立法会で過半数の議席を獲得し、香港政府の機能をまひさせ、トップの行政長官を辞任に追い込もうとしたと主張し、裁判所は検察側の主張を認めていました。
19日、裁判所は、有罪が認定された45人に対して懲役10年から4年2か月を言い渡しました。
このうち、予備選挙を呼びかけた香港大学の元准教授、戴耀廷氏は最も重い懲役10年、また、選挙に参加した著名な民主活動家の黄之鋒氏は懲役4年8か月を言い渡されました。
民主派の中心的なメンバーが一斉に逮捕・起訴されたこの事件は、反政府的な言動を取り締まる香港国家安全維持法違反に問われたものでは最大規模で、香港の民主派の活動は一段と沈黙を強いられることになりました。
裁判所には傍聴券を求め長い列
量刑の言い渡しを前に、香港の裁判所では数百人の市民が傍聴券を求めて長い列を作りました。
周辺では大勢の警察官が配置されて厳重な警備態勢を敷き、所持品などを厳しく検査していました。
民主派を支持する人たちの一方、中国政府や香港政府を支持する人も集まり、中国の国旗を手に厳しい量刑を求めて声を上げていました。
19日の裁判で、裁判官は量刑の理由にはほとんど言及せず、言い渡しはおよそ10分で終わりました。
このあと裁判所前ではプラカードを掲げて抗議した人もいましたが、すぐに警察官に取り押さえられ、車で連行されていました。
台湾総統府“中国が香港の民主活動家を抑圧 厳しく非難”
台湾総統府は19日、報道官のコメントを発表し「民主主義に罪はない。中国の共産党政権が司法の手段と不公正な手続きを利用して、香港の民主活動家の政治参加と言論の自由を抑圧したことを厳しく非難する」としています。
そして、香港で実施され、中国が台湾統一のあり方として検討している「一国二制度」について、「『50年間変わらない』や『高度な自治』などの約束を破るだけでなく、『一国二制度』が実行できないことをさらに証明するものだ」と強調しました。
そのうえで「台湾は民主主義陣営の一員として国際社会と協力し、ともに専制主義勢力の拡大に抵抗し続ける」とし、自由と民主主義を追求する香港の人々を支援する考えを示しました。
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