【ニューヨーク=野一色遥花】全米不動産協会(NAR)が21日発表した10月の中古住宅の販売件数は396万戸(3季節調整済み、年率換算)となり、前年同月と比べ2.9%増えた。2021年7月以来、3年3カ月ぶりに前年実績を上回った。8〜9月のローン金利の低下が需要を喚起したが、増加は「一過性にとどまる」との見方がある。
販売件数は前月比では3.4%増だった。市場予想(前月比2.9%増)を上回った。販売価格(中央値)は前年同月比4%増の40万7200ドル(約6300万円)だった。販売件数も価格も調査対象の全米4地域で増加した。
ウェルズ・ファーゴの調査グループは「米連邦準備理事会(FRB)による利下げが続くことへの期待からローン金利が一時下がったことが販売件数増加につながったが、一時的な物だろう」と説明する。
中古住宅の在庫は足元の販売ペースを前提とすると、137万戸だった。4.2カ月分の在庫がある状況だ。1年前の3.6カ月分よりは多いが、前月の4.3カ月分より減っており、「健全」とされる5〜6カ月分の水準には達していない。
米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)発表の30年物固定住宅ローン金利は23年10月に足元の天井である7%台後半に上昇した後、9月末には6.08%にまで下がっていた。足元では再び上昇し14日時点の発表では6.78%(週平均)となった。
NARのチーフ・エコノミスト、ローレンス・ユーン氏は「在庫が増え始め、販売停滞から脱しつつある可能性もある」と指摘した上で「ローン金利は住宅を初めて購入する世帯にとって重要で、ローン金利が高止まりする間は販売件数も大幅な改善は見込めない」と説明する。
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