【NQNニューヨーク=戸部実華】21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、15時現在は前日比549ドル51セント高の4万3957ドル98セントで推移している。米経済の底堅さを背景に景気敏感株が買われ、指数を押し上げている。主力ハイテク株の一角が売られている半面、景気敏感株や出遅れ感のあった銘柄への循環物色につながっている。
21日発表の週間の新規失業保険申請件数は21万3000件と前週の改定値から6000件減り、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(22万件)を下回った。労働市場は底堅さを保っていると受け止められた。トランプ次期米大統領による減税や規制緩和が景気を押し上げるとの観測が根強く、景気敏感株や内需株の買いにつながっているとの見方もある。中小型の内需株を中心に構成するラッセル2000株価指数などが高い。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、アルファベットが大きく下げている。前日に米司法省が裁判所に傘下のグーグルのインターネット閲覧ソフト(ブラウザー)「クローム」事業の売却を含む是正案を提出した。アマゾン・ドット・コムやマイクロソフトも売られている。「主力ハイテク株を売って(内需や出遅れ感のあった銘柄など)ハイテク株以外へと資金が向かっている」(ジョーンズ・トレーディングのマイケル・オルーク氏)との声が聞かれる。
ダウ平均は朝方は小幅に下げる場面があった。ウクライナ軍が21日、ロシアが大陸間弾道ミサイル(ICBM)でウクライナ領を攻撃したと発表した。西側諸国の一部はICBMの発射が確認されていないとしているものの、ウクライナとロシアの戦闘激化への警戒は引き続き投資家心理の重荷となる面がある。
個別銘柄ではゴールドマン・サックスやシャーウィン・ウィリアムズ、キャタピラーへの買いが目立つ。昨年末と比べて株価が下落しているナイキやメルクも買われている。アナリストが目標株価を引き上げたセールスフォースも高い。エヌビディアは小幅高。前日夕に市場予想を上回る四半期決算を発表し、複数のアナリストが目標株価を引き上げた。株式分割後の高値を更新する場面もあったが、買い一巡後は伸び悩んでいる。
ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は小幅に反発している。巨大ハイテク株の一角は売られている半面、ソフトウエア関連や半導体製造装置株などを中心に買いが入っている。
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