ロシア・ウクライナ情勢(11月28日の動き)

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ルーブル ウクライナ軍事侵攻直後のおととし3月以来の安値

外国為替市場でロシアの通貨・ルーブルは急落していて、ロシア中央銀行によりますと、28日の時点で1ドル=108ルーブルまで値下がりしています。

これはロシアがウクライナヘの軍事侵攻を開始した直後、おととし3月中旬以来の安値となります。

通貨安の要因としては、アメリカ政府による新たな金融制裁があるとみられています。

アメリカ政府は先週21日、ヨーロッパ向けに輸出される天然ガスの決済で重要な役割を担っているロシアの大手金融機関ガスプロムバンクなどを、新たな制裁対象に加えると発表しました。

決済が難しくなるとの見方からドルなどの外貨を調達し、ルーブルを売る動きが加速したものとみられています。

ロシアでは軍事侵攻の長期化で人手不足が深刻になったり、軍事費の支出が膨らんだりしてインフレが加速しています。

ルーブル安によって輸入物価が押し上げられ、インフレが一段と進むおそれもあります。

ロシア中央銀行は急激なインフレを抑え込むため、10月には政策金利を21%に引き上げていますが、個人や企業にとっては借り入れの金利負担が重くなり、ロシア当局は難しいかじ取りを迫られています。

国連安保理の緊急会合 ウクライナ側「核の威嚇」とロシア非難

ウクライナ情勢をめぐって国連の安全保障理事会で緊急会合が開かれ、ロシアによる新型の中距離弾道ミサイルの発射について、ウクライナ側が「核の威嚇」だと非難したのに対し、ロシア側はアメリカでも迎撃できない兵器だと欧米をけん制しました。

ウクライナ情勢をめぐっては、ウクライナが欧米が供与した射程の長いミサイルで、ロシア領内を攻撃したのに対し、ロシアも新型の中距離弾道ミサイルを報復として発射するなど、攻防が激しさを増しています。

こうしたなか国連の安保理では27日、緊急会合が開かれ、ウクライナのキスリツァ国連大使は、「大量破壊兵器の搭載が可能な中距離弾道ミサイルによる攻撃を受けた」としたうえで、「ロシアによる無責任な核の威嚇を強く非難するよう求める」と呼びかけました。

これに対しロシアのポリャンスキー国連次席大使は新型ミサイルについて「極超音速の兵器で、ヨーロッパにあるアメリカのミサイル防衛システムでも迎撃できない」と主張するとともに、「われわれの施設に兵器を使用することを許可した国々の軍事施設に対して、われわれは兵器を使用する権利があると信じる」と述べ、ウクライナに兵器を供与する欧米をけん制しました。

またアメリカのウッド国連次席大使が北朝鮮に対し、ロシアに兵士を派遣したかどうか答えるよう問いただす場面もありましたが、北朝鮮のキム・ソン国連大使は「ロシアと北朝鮮の包括的戦略パートナーシップ条約は国際法と国連憲章に合致したものだ」とだけ述べ回答を避けました。

林官房長官「ロシアの核兵器の脅し 強い非難を表明」

林官房長官は臨時閣議のあとの記者会見で「安全保障理事会の会合で、わが国やアメリカ、イギリスをはじめとする同志国は、新型弾道ミサイルの発射と見られる事案を含む相次ぐロシア側による攻撃や、ロシアが核兵器の脅しを繰り返していることへの強い非難と深刻な懸念を表明した」と説明しました。

その上で「ロシアがウクライナ侵略の文脈で核兵器の使用を示唆するような言動を繰り返していることは極めて憂慮すべきだ。わが国は唯一の戦争被爆国としてロシアによる核の威嚇、ましてや使用はあってはならないという立場をロシア側に機会があるごとに伝えるとともに国際社会にも訴えてきており、こうした取り組みを続けていく」と述べました。

トランプ次期大統領 ウクライナ侵攻終結へ 担当特使にケロッグ氏

アメリカのトランプ次期大統領は27日、ロシアによるウクライナ侵攻の終結に向けた担当特使を新たに設け、前のトランプ政権でペンス副大統領の補佐官を務めた退役軍人のキース・ケロッグ氏を起用すると発表しました。

トランプ氏はSNSの投稿で「彼ははじめから私の味方だった!われわれはともに力による平和を確保し、アメリカと世界を再び安全にする」としています。

ケロッグ氏は現在、保守系シンクタンク、AFPI=アメリカ第一政策研究所に所属し、4月に発表した報告書の中で、ロシアが再び攻撃することがないよう、アメリカはウクライナへの軍事支援を続けるとする一方、そのためにはウクライナがロシアとの和平交渉に参加しなければならないと主張しています。

また、プーチン大統領を交渉に応じさせるためには、ウクライナのNATO=北大西洋条約機構への加盟を長期的に見送り、代わりに安全保障を含む包括的な和平案を結ぶべきだと主張しています。

トランプ氏は、9月にウクライナのゼレンスキー大統領とニューヨークで会談するなど、交渉を通じた早期の戦闘終結に意欲を示しており、具体的にどのような方策をとるのかに関心が集まっています。

「北欧バルトサミット」欧州結束し ロシアに対抗する重要性強調

「北欧バルトサミット」は、北欧の5か国とバルト三国の首脳がヨーロッパの安全保障について話し合うもので、今回はポーランドも招いて27日、スウェーデンで行われました。

会議のあと発表された共同声明では「ロシアはわれわれの安全保障に対する、最も重大で直接的な脅威であり続ける」として軍事侵攻を続けるロシアと戦うウクライナの防衛産業などへの支援を強めるとしています。

また「大西洋を越えた絆は不可欠だ」と指摘しアメリカとの連携強化の必要性を強調しています。

ただ、アメリカのトランプ次期大統領は、ヨーロッパの安全保障をめぐってNATOへのヨーロッパ側の貢献が少ないと批判し、そのあり方を見直すとしている上、ウクライナ支援の継続にも消極的な姿勢を見せてきました。

ポーランドのトゥスク首相は共同会見で「アメリカの決定がいま見られるようなものになるならば、ヨーロッパ全体がさらに決意を固め、代わりの手段や資金を提供する用意ができていなければならない」と述べ、ヨーロッパ各国が結束を強めることでロシアに対抗していく重要性を強調しました。

スウェーデンの危機感の背景と備えをする住民

スウェーデンではいま、安全保障への懸念がいっそう強まっています。

その背景には、アメリカの大統領選挙で、ウクライナ支援の継続に消極的な姿勢を見せてきたトランプ氏が当選したことや、ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用基準を引き下げたこと、それにロシアによる破壊工作や偽情報の拡散などを組み合わせた「ハイブリッド攻撃」ではないかと疑われる事件が相次いでいることがあります。

ストックホルム市内のIT企業に勤めるマーティン・スベンベルグさん(52)は、NHKの取材に対して「私たちのすぐ近くにはロシアがいて、さまざまなことが起きている。さらにスウェーデンはNATOに加盟したので、戦争に備えることはより重要になった」と話していました。

スベンベルグさんの自宅マンションの地下にはおよそ100年前に作られた、鉄製の分厚い扉の付いた共用のシェルターがあります。

これまでも有事に備えて冷凍肉や調味料などを貯蔵してきましたが、シェルターの中で3か月間は生活できるよう、最近になって備蓄をさらに増やしたということです。

スベンベルグさんは「アメリカには引き続き、ウクライナへの力強い支援を期待したい。ウクライナで起きていることをここで止めなければ、ポーランドやフィンランドにも及び、いよいよスウェーデンに近づいてくる。それは共同体であるヨーロッパ全体にとっても大惨事だ」と話していました。

スウェーデン政府 有事への備え訴えるパンフレット全戸配付

ヨーロッパの安全保障に対する各国の危機感は、スウェーデン政府が有事への備えを訴えるパンフレットをすべての世帯に配付することにも表れています。

スウェーデンの民間緊急事態庁が作成した「危機や戦争のときは」と題するパンフレットは、第2次世界大戦中に初めて作られて以来5冊目で、11月から国内のおよそ520万世帯すべてを対象に配付が始まっています。

6年ぶりとなった今回の改訂では戦争にどう備えるべきか32ページにわたって記されていて、家庭で食料、防寒具、通信機器などを準備したり、シェルターの場所を確認したりするよう求めているほか、空からの攻撃のおそれがある場合に出される空襲警報は、どのようなサイレンなのかといった説明など、これまでより多くの分野にわたっているということです。

さらに、核兵器についても触れられていて使用された場合は「シェルターに避難するのが最善の防御だ」としています。

また、スウェーデンがことし3月に加盟したNATO=北大西洋条約機構について「加盟国の1つが攻撃されたら、同盟内のほかの国々が防衛のために支援する」と説明するとともに「スウェーデンは攻撃されたとしても決して降伏しない。これに反する情報はすべて誤りだ」とも書かれ、ロシアも念頭に誤った情報に惑わされないよう強調しています。

同じ北欧のフィンランド、ノルウェー、それにデンマークでも最近、政府が相次いで国民にパンフレットや電子メールを送り、有事への備えを呼びかけています。

ウクライナ国防相 韓国大統領などと会談 情報共有継続で一致

ウクライナのウメロフ国防相は27日、韓国の首都ソウルを訪問し、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領と会談しました。

韓国大統領府によりますと、ユン大統領は、北朝鮮がロシアに兵士を派遣していることに対して「両国で実効的な対応策を講じたい」と述べたということです。

また、ウメロフ国防相はシン・ウォンシク(申源●)国家安保室長やキム・ヨンヒョン(金龍顕)国防相ともそれぞれ会談し、北朝鮮兵士の動向やロシアと北朝鮮の間での武器や軍事技術の移転について情報共有を続けていくことで一致したということです。

一方、ウメロフ国防相はロシア軍に1万2000人の北朝鮮の部隊が加わっていることや、北朝鮮がロシアによるウクライナのエネルギー施設への攻撃を積極的に支援していることを、ユン大統領らとの会談の中で伝えたとSNSで明らかにしました。

その上でロシア西部に派遣された北朝鮮の部隊が、作戦を実施する経験を積んでいるとして「韓国にとってこうした一連の行動は深刻な脅威だ」と指摘し、安全保障と安定の強化に向けてともにとる行動について話し合ったとしています。

※シン・ウォンシク(申源●) ●は「さんずい」に「是」

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