【パリ=北松円香】フランス外務省は27日、国際刑事裁判所(ICC)が出したイスラエルのネタニヤフ首相の逮捕状に「免責が適用される」との見解を示した。マクロン大統領からもネタニヤフ氏に直接、こうした認識を伝えたもようだ。
外務省報道官の声明はICC非加盟国には免責が適用されると指摘し、ICCがフランスにネタニヤフ氏の逮捕と引き渡しを求めた場合は同氏への適用を考慮すべきだとした。フランスは国際的な義務を履行するとの立場も表明した。イスラエルはICCに加盟していない。
仏ラジオ局RMCはマクロン氏とネタニヤフ氏が先週、電話協議をしたと報じた。逮捕に応じないよう求めたネタニヤフ氏に対し、マクロン氏は国際法を順守する方針を示しつつも免責が適用できると述べたという。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、イスラエル当局はフランスがネタニヤフ氏を逮捕する可能性があるなら、レバノンでの停戦監視団へのフランスの関与を拒否すると主張した。
レバノンはフランスの旧委任統治領で、仏との二重国籍保有者が多い。そのため、フランスはイスラエルに停戦を強く求めてきた。免責に関する見解は停戦協議への影響を考慮した可能性もある。
フランスの見解には批判も出ている。人権団体アムネスティ・インターナショナル・フランスは27日、フランスの立場は容認できないと表明した。ICCの逮捕状が出ている人物が入国した際の逮捕と引き渡しを実行するようフランス政府に求めた。
ICCの影響力に疑問符が付くのは今回が初めてではない。2023年にはウクライナの子どもの連れ去り容疑でロシアのプーチン大統領の逮捕状を発行した。だがICC加盟国のモンゴルは今年9月、同国を訪れたプーチン氏の拘束を見送った。
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