米ニューヨークのウォール街

【NQNニューヨーク=稲場三奈】5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、15時現在は前日比189ドル42セント安の4万4824ドル62セントで推移している。前日に米主要3株価指数が総じて最高値を更新したあとで、短期的な過熱感を意識した売りが優勢となっている。6日朝の11月の米雇用統計の発表を前に持ち高調整の売りも出ている。

4日午後に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が利下げを始めた9月に想定していたよりも「米経済は強い」との認識を示した。一方、労働市場が軟化した場合は経済を支えるとも強調した。市場では米経済が堅調を維持しながら、12月もFRBが追加利下げに動くとの観測があり、株買いが広がった。同日のダウ平均は初めて4万5000ドル台で終え、5日は目先の利益を確定する売りが膨らんでいる。

6日に11月の米雇用統計の発表を控え、内容を見極めたい雰囲気も強い。市場では「ストライキやハリケーンの影響を受けていたため、FRBは9〜10月の雇用統計を額面通りには受け止めにくいだろう」(サンタンデールのスティーブン・スタンレー氏)との声が聞かれ、11月分に関心が高い。5日朝発表の週間の米新規失業保険申請件数は22万4000件とダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(21万5000件)を上回った。

朝方にはダウ平均は小幅に上昇する場面があった。米景気が底堅さを保つなかで利下げ継続が見込めるとの観測が支えとなった。代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコインの価格が米東部時間4日夜に初めて10万ドルの大台に乗せたことは仮想通貨関連銘柄の追い風となった面もあったが、上値は限られた。

ダウ平均の構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループやシャーウィン・ウィリアムズが安い。前日に決算を好感した買いが膨らんだセールスフォースは売られている。一方、メルクやスリーエム(3M)、ゴールドマン・サックスなどは買われている。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反落している。一方、アナリストの目標株価引き上げがあったテスラは高い。

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