日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞の授賞式が10日にノルウェーで開かれます。核の悲惨さを伝える長年の運動への国際的な評価である一方、世界が核の脅威に再び覆われる現実を映しているともいえます。
祝賀の裏で遠のきつつある「核なき世界」の実情を伝えたルポ迫真「核なき世界の現在地」の計4回を再掲します。
(1)崩れゆく「核兵器使用のタブー」 ロシアの脅しが壊す規範
「今日、核兵器使用に対するタブーが圧力にさらされていることは憂慮すべきだ」。ノーベル賞委員会は授賞理由でこんな指摘をした。凄惨な被害をもたらす核を二度と使わないとする国際規範となった「核のタブー」は崩れつつある。…記事を読む
(2)核の傘に頼る日本のジレンマ「現実路線とるしかない」
日本被団協のノーベル平和賞の受賞は日本政府にとっては寝耳に水だった。「質問を待つより冒頭発言で言ったほうがいい」。首相の石破茂は訪問先のラオスに同行した外務省職員らの助言に沿って「平和賞の授与は極めて意義深い」と発言した。この表現が核政策を巡り日本が置かれた現状を表している。…記事を読む
(3)韓国「核保有国になれる準備を」 アメリカへの疑心抱く
「いつでも『その段階』に進めるよう具体的に準備する必要がある」。韓国与党「国民の力」代表の韓東勲(ハン・ドンフン、51)は11月、国会の勉強会で問題提起した。「その段階」とは韓国独自の核保有を指す。…記事を読む
(4)渋谷に原爆が落ちたら… 被爆者証言、AR・AIで探る継承
長崎の被爆3世の中村涼香(24)は今夏、拡張現実(AR)のコンテンツを公開した。東京・渋谷のスクランブル交差点でスマートフォンをかざすと上空がキノコ雲に覆われる。制作段階で被爆者から「現実は地獄だった。被爆の実相が十分表現されていない」と評された。公開直前まで悩んだ中村は「同世代へ新たな切り口で訴求したい」と初志を貫いた。…記事を読む
(敬称略)
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