8日、シリア首都ダマスカスで反体制派の到着を歓迎する市民ら=AP

【イスタンブール=渡辺夏奈】シリアの反体制派は8日、首都ダマスカスに到達し制圧したと主張した。アサド大統領がダマスカスから逃れたとしている。反体制派は11月末に北部から大規模攻勢を始めていた。シリア情勢は重大な局面を迎えた。

反体制派は8日早朝、「ダマスカスは暴君アサドから解放されたと宣言する」とX(旧ツイッター)に投稿した。

ロイター通信は同日、アサド氏が飛行機でダマスカスを離れたと報じた。行き先は分かっていない。2人の軍高官の話としている。中東メディアは市内で銃声が聞こえると伝えている。

シリア首相、政権移行へ「協力の用意ある」

シリアのジャラリ首相は同日「人々に選ばれた指導者と協力する用意がある」と声明を出し、政権移行に協力する考えを示した。

ロイター通信によると、米ホワイトハウスは現地時間7日「バイデン大統領と彼のチームはシリアの異常事態を注意深く監視しており、地域のパートナーたちと連絡を取り合っている」との声明を出した。

反体制派による進攻後、破壊されたアサド大統領の肖像(11月30日、アレッポ)=ロイター

シリアでは2011年から内戦が始まった。ロシアやイランの支援を受けたアサド政権が事実上の優位を固めた。反体制派は北西部イドリブ県に押し込められ、近年戦闘は鎮静化していた。

反体制派の大規模攻勢は11月末にイドリブから始まった。北部アレッポ、中部ハマと要衝を次々掌握し、支配地域を急拡大している。アサド政権を支援してきたイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラがイスラエルとの戦闘で弱体化したタイミングを狙った。ロシアもウクライナ侵略に集中している。

ロイター通信は8日、シリア軍事筋の話として、ヒズボラがシリアへの武器や戦闘員の供給ルートとなってきたレバノン国境の街から撤退したと伝えた。

反体制派を率いる国際テロ組織アルカイダ系のシャーム解放機構(HTS)のジャウラニ指導者は「目標はアサド政権の打倒だ」と語っている。

アサド家は2代にわたりシリアを統治してきた。現大統領のバッシャール・アサド氏はハフェズ・アサド前大統領の次男。前大統領の死去に伴い、2000年に跡を継いだ。

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