ウクライナの隣国ルーマニアでは11月24日に行われた大統領選挙の1回目の投票で、無名の存在だったロシア寄りの主張を掲げる無所属のジョルジェスク氏がSNSのTikTokを軸に動画を拡散する選挙運動で、本命視されていた現職の首相も上回って首位に立ちました。

ルーマニアは、冷戦終結後、NATOやEUとの関係を重視し国内の基地をウクライナ軍の訓練のために開放するなど、重要な役割を果たしてきただけに、8日に予定されていた決選投票に関心が集まっていました。

そうした中、ルーマニアの憲法裁判所は6日、選挙を無効とする判断を下しました。

憲法裁判所は「デジタル技術の不透明な利用により投票が誘導され、公正な選挙の過程が損なわれた」として、名指しを避けながらもジョルジェスク氏のSNSの利用を問題視したと説明しています。

ジョルジェスク氏は、8日、みずからが投票する予定だった投票所に支持者とともに姿を現し「民主主義が裁判所によって停止された」と裁判所の判断を批判するとともに、「私たちは民主的なやり方で進める」と述べ、今後も選挙を通じて政策を実現する考えを示しました。

12月21日で任期が切れるヨハニス大統領は大統領選挙の新たな日程について、12月上旬に行われた議会選挙を経て発足する新政権が決めると説明し、当面は職務を代行するとしています。

裁判所の異例の判断に批判の声も上がっていて、今後、大きな混乱が起きずに改めて選挙が行われるのか、注目されます。

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