【パリ=北松円香】経済協力開発機構(OECD)は2日発表した経済見通しで2024年の世界の成長率を3.1%、25年は3.2%と予測した。いずれも2月時点から0.2ポイント引き上げた。各国でインフレが落ち着き、米国を中心に世界経済は底堅く推移すると評価した。
OECDチーフエコノミストのクレア・ロンバルデリ氏はこの日公表した経済見通しのリポートで「世界経済について慎重ながらも楽観が広がっている」と指摘した。国際通貨基金(IMF)も4月に24年の世界経済見通しを小幅に上方修正した。
物価高の一服が景気の底堅さにつながっていることが見直しの背景にある。20カ国・地域(G20)の物価上昇率は23年の6.3%から25年に3.6%まで低下する見通しで、実質賃金を押し上げ、経済成長の追い風になる。
国別では個人消費が活発な米国経済の好調さが目立つ。24年の成長率見通しは0.5ポイント引き上げて2.6%とした。
ユーロ圏は24年は1%を下回る成長にとどまるが、インフレ率の低下などで25年に向けて景気が上向くと予測した。
中国経済は1〜3月が堅調に推移し、24年全体で4.9%成長が確保できるとみている。不動産市況は引き続き懸念材料だが、目先は財政出動やインフラ投資、外需の拡大が追い風になる。
日本は日銀が25年末までに政策金利を0.75%に引き上げると予測した。直近では消費がやや弱含むものの、実質賃金の増加も見込まれ、「24年1〜3月より後は着実な景気拡大が続く」と分析した。
今後のリスク要因として、中東情勢などの地政学的要因や、新興国と先進国の金利差の縮小に注意すべきだとした。
これまで米欧などに比べて高金利だった新興国が金融緩和を進めて金利差が縮小すれば、投資マネーの流出や通貨安を引き起こす恐れがあるためだ。外貨建ての債務を多く抱える国は返済負担が膨らむことになる。
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