このうちノーベル平和賞の歴代受賞者を紹介している「ノーベル平和センター」には事前に予約した家族連れや旅行者などおよそ80人が訪れ、大型スクリーンで授賞式を視聴しました。

式典で3人の代表委員にノーベル賞のメダルが手渡されると、訪れた全員が立ち上がって拍手を送り、目に涙を浮かべる人もいました。

続く田中熙巳さんの受賞演説では会場は静まり返り、核兵器廃絶の訴えをメモをとりながら聞く人もいました。

演説について、地元の男性は「ことばに力があった。人々の関心が高まったことで、今後ロシアがウクライナに対し核兵器を使うのは難しくなったと思う」と話していました。

フランスから訪れたという女性は「きょう聞いたことすべてにとても感動した。人類は過去にひどいことをしたと思うので、将来は改善できることを願っている」と話し、核兵器廃絶への思いを新たにしていました。

パブリックビューイングには、国際交流のためノルウェーを訪れている広島県福山市の高校生10人余りも参加し、生徒の1人は「被爆者の話を聞いた私たちが次の世代に向けていろいろな行動をとり、正しい情報を伝えていかないといけない」と話していました。

ロシア モスクワでは

10日、ロシアの首都モスクワで話を聞きました。

このうち、60歳の女性は「いま世界は核戦争の悲劇にとても近づいていると思う。理性が勝たなければ、取り返しのつかないことが地球上で起こるおそれがある」と危機感を示しました。

一方、28歳の会社員は「いまの世界の状況に対する注意喚起だと思う」とした上でロシアが核保有国であることについては「核兵器による攻撃の犠牲にならないようにするためだ」と話していました。

また、18歳の大学生は「いまの政治状況や世界の雰囲気を反映しているので関心がある」と話す一方、「核兵器は国際舞台におけるロシアの権威を示すものだ」としてロシアにとって核兵器の保有は必要だという考えを示しました。

ウクライナ キーウでは

ロシアによる侵攻が続くウクライナの首都キーウで話を聞きました。

38歳の女性は「重要なことだ。日本人は、ほかの誰も経験したことがない悲劇と痛みを経験した。核兵器の廃絶はいまは現実的ではないかもしれないが、これは非常に重要な問題で、人々は声を上げ続けるべきだ」と話していました。

また、17歳の学生は「核兵器を廃絶できる可能性はあると思う。いまは可能性はあまり高くないが、近い将来、可能になると思う」と話し、26歳の男性は「全世界が核兵器を拒絶すべきだ。人類はこのような危険な兵器を保有すべきではない」と話していました。

ウクライナは、アメリカ、ロシア、イギリスがウクライナの主権や独立を尊重し安全を約束するとした1994年の「ブダペスト覚書」に基づき、旧ソビエト時代に配備された核兵器を放棄しました。

しかし、その後、ロシアの侵攻を受けたことから、別の17歳の学生は「核兵器は非常に悪いもので、どの国にも保有してほしくないが、ウクライナが核兵器を放棄したのは、よくない判断だったと思う。結果として、ロシアがこうした状況を利用して侵攻してきたからだ」と複雑な心境を語りました。

ノルウェー 現地の人たちは

ノーベル平和賞の授賞式に出席した現地の市民は、「被爆者が身体的にも精神的にも苦しんだことや、国の補償を受けていないことなどをきょう初めて知りました。被爆者が経験したことを改めて思い出すことができ、世界にも伝えてくれてよかったです」と話していました。

また、出席したノルウェー議会の議員は「スピーチがすばらしかったです。ノルウェーでも原爆の歴史は教わりますが、実際に経験した被爆者から話を聞くことは特別だと思います」と話していました。

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