韓国のユン・ソンニョル大統領による「非常戒厳」をめぐる捜査で、警察などでつくる合同捜査本部は18日午前10時にユン大統領に出頭するよう求めていましたが、大統領は応じませんでした。
複数の韓国メディアによりますと警察は、ユン大統領に対して改めて出頭要請を出すことを検討していて、今後、合同捜査本部で調整を進めるということです。
また、ユン大統領をめぐる捜査では、合同捜査本部のほか、検察も出頭を求める事態となっていましたが、18日、関係機関で協議をした結果、大統領が出頭した際の取り調べは政府高官などの捜査を担う「高位公職者犯罪捜査庁」に一本化することになりました。
通信社の連合ニュースは、これによって、今月21日までとしていた検察による2回目の大統領への出頭要請は実現しない可能性が高いと伝えています。
一方、ユン大統領の弾劾が妥当かどうか判断する憲法裁判所は、大統領側に今月24日までに「非常戒厳」についての会議の議事録などを提出するよう求めたことを明らかにしました。
ただ、韓国政府は「議事録はない」としており、引き続き大統領側の対応に注目が集まっています。
“軍幹部ら ハンバーガー店で戒厳について密談” 報道
韓国の複数のメディアは、「非常戒厳」が宣言された2日前の今月1日に、ソウル近郊のハンバーガー店に軍の幹部らが集まり、事前に戒厳についてひそかに話し合っていたと伝えています。
集まったのは、軍の情報司令官や元司令官らで、韓国メディアは、捜査機関の話として司令官らが部下の大佐2人を呼び出し、「戒厳の準備をしろ」などと指示したと伝えています。
また、大佐の1人は司令官らに呼び出された際の状況について「ハンバーガーを食べてから話をしようといわれたので、ハンバーガーを食べた」と供述していると報じられています。
警察などの合同捜査本部は、店に集まった軍の情報司令官を拘束していて、店の防犯カメラを解析して当時の状況を詳しく調べています。
軍幹部らがハンバーガー店で事前に戒厳を話し合っていたことについて、韓国メディアは「オープンな場所で戒厳について軍の幹部らが話していたのか」といった市民の驚きや批判の声のほか、インターネット上で「戒厳バーガー」などとやゆされていることを伝えています。
韓国外相 “外交安保に一寸の空白もないようにする”
韓国のチョ・テヨル(趙兌烈)外相は、チェ・サンモク(崔相穆)副首相兼企画財政相とともに、18日ソウルに駐在する外国メディアを対象に記者会見を行いました。
この中で、チョ外相は「今のような政局下で、韓国政府がこれまで進めてきた外交基調が持続可能かという疑問が少なくないと理解している。できるだけ短期間で韓国の外交を正常化させ、外交安保に一寸の空白もないようにする」と述べ、これまでの外交路線を維持していくとの考えを示しました。
そのうえで「アメリカや日本との3か国の協力が続くよう積極的に努力する」としたほか、日韓関係については「国交正常化60周年を迎える来年が、両国関係に意味のある年として記憶されるよう準備を着実に進めていく」と述べました。
また、チェ副首相は、国内の政治状況などで韓国経済の不確実性が大きくなっているとしたうえで「政府は警戒を緩めず、経済が最大限安定するよう管理していく。健全な経済システムによって迅速に安定すると確信している」と強調しました。
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