◆「国連常任理事国の一員から制裁をちらつかされている」
オランダ・ハーグのICC=2023年8月、加藤美喜撮影
「任務を忠実かつ熱心に遂行したという理由で、複数の職員が脅迫を受け、国連安全保障理事会の常任理事国の一員から逮捕状を発付されている」「あたかもテロ組織かのように、別の常任理事国から厳しい経済制裁をちらつかされている」。2日の年次総会で演説した赤根所長の口から、現状への強い危機感を示す言葉が続いた。 経済制裁でICCが機能不全に陥れば「裁判は破綻する。被害者は救済も希望も得られなくなる」として、国際社会における法の支配が崩壊すると警告。その上で「正義を追求し、残虐行為の被害者の尊厳と権利を擁護し続ける」と強調し、ICCは「存続の危機にさらされている」として加盟国の結束を呼びかけた。 ICCは2002年、ローマ規程に基づき設立。124の国・地域が加盟する。日本は2007年に加わり、最大の資金拠出国だが、安保理常任理事国の米国、ロシア、中国は未加盟だ。国連本部ビル=資料写真
◆ICCは逮捕状を発行できるが、専属の執行機関はない
国家間の紛争を扱う国際司法裁判所(ICJ)と異なり、重大な罪を犯した個人を捜査・訴追し、裁判にかける。対象となるのは特定の民族や宗教集団の撲滅を狙った集団殺害(ジェノサイド)、一般住民の虐殺や性的暴行などの人道に対する罪、捕虜の取り扱いなどを巡る戦争犯罪、侵略犯罪の4種類だ。 管轄権を行使できるのは2002年7月以降の事件に限られ、時効はない。国連安保理から付託された事案を除いて、原則、被告が加盟国の国籍を持つか、加盟国内で起きた犯罪でなければ管轄権を持てない。逮捕状を発行できるが、専属の執行機関はなく、加盟国は発行された人物が入国した場合に拘束する義務が生じる。◆現役の国のトップらに相次いで逮捕状を出した
ICCは昨年来、現役の国のトップらに逮捕状を出している。2023年3月にウクライナ情勢を巡り、戦争犯罪の疑いでロシアのプーチン大統領に逮捕状を発行。2024年11月21日にはパレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡る戦争犯罪に関し、イスラエルのネタニヤフ首相らに出した。また、ICCの検察官は11月27日、ミャンマーで少数派イスラム教徒ロヒンギャを迫害したとして、人道に対する罪の疑いで、国軍トップのミンアウンフライン総司令官の逮捕状を請求している。 赤根所長は演説で名指しこそ避けたが、批判したのはロシアや米国の反応だ。ロシアはプーチン氏への逮捕状に反発し、赤根氏らを指名手配。イスラエルを支援する米国はネタニヤフ氏らへの逮捕状請求を受けて6月、下院でICCに経済的制裁を科す法案を可決し、上院でも可決の動きが本格化しつつある。◆逮捕しない、協力しない 加盟国の現実
一方、加盟国も一枚岩とは言えない。フランスはイスラエルがICCに非加盟であるのを理由に、ネタニヤフ氏の逮捕に協力しない姿勢を表明。モンゴルも9月、プーチン氏が公式訪問した時に逮捕しなかった。 こうしたICCを巡る状況について、日本の外務省の担当者に見解を尋ねると「法の支配に基づく国際秩序の推進は一つの大きな政策目標だ。ICCの独立性は尊重しなければいけない。連携協力を強化するとともに、重大な関心を持って注視したい」と話した。◆トランプ次期政権でイスラエル寄りが強まったら…
「国際秩序を維持しようとするICCの努力がそのままリスクになっている」。赤根所長の発言を受け、そう指摘するのは東京大の鈴木一人教授(国際政治経済学)。本来、ICCや国際法は各国の利害に秩...残り 1617/3233 文字
「東京新聞デジタル」スタート
この記事は会員限定です。
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
会員登録について詳しく見る
よくある質問はこちら
記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。
新規登録 ログインする記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。
新規登録 ログインする記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。
新規登録 ログインする記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。
新規登録 ログインするカテゴリーをフォローする
-
『カテゴリーをフォロー』すると、マイページでまとめて記事を読むことができます。会員の方のみご利用いただけます。
新規登録 ログインする -
『カテゴリーをフォロー』すると、マイページでまとめて記事を読むことができます。会員の方のみご利用いただけます。
新規登録 ログインする -
『カテゴリーをフォロー』すると、マイページでまとめて記事を読むことができます。会員の方のみご利用いただけます。
新規登録 ログインする
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。
コメント機能利用規約コメントを投稿しますか?
コメントを削除しますか?
削除しました。
送信しました。
管理者へ報告
コメント機能利用規約に違反していると思う理由を選択し、内容をお知らせください。
報告する理由
内容の詳細
0 /150文字 `; }); $('.report_types').append(type_list); } var pending_count=resjson.data.status.max_rec-(page*no_item); if (resjson.success) { $('#more_button').html("もっと見る "+pending_count+"件"); $('#page').val(resjson.data.status.next_page) $('#comment_count').html(resjson.data.count); if(resjson.data.status.page_no=='1'){ var comment_title=`みんなのコメント${resjson.data.count}件
` $('#lst-comment-001').append(comment_title); } Object.entries(resjson.data.list).forEach(([key, value]) => { if (value.comment_status != 10) { if (value.reply_count == 0) { return; // Skip this iteration if reply_count is 0 } comment_list += `${value.comment_text}
`; if(value.comment_edit_status==10){ comment_list+=`管理者によりコメント編集済み
`; } comment_list+=` `; comment_list+=`コメントに『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。
新規登録 ログインする `; comment_list+=``; //reply section comment_list+=`${value.self_text}
`; reply_list+=``; reply_list+=`${value.comment_text}
`; if(value.comment_edit_status==10){ reply_list+=`管理者によりコメント編集済み
`; } reply_list+=` `; reply_list+=`コメントに『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。
新規登録 ログインする `; reply_list+=`有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。
`; $('#reply-comment-' + comment_id).append(commentBox); const textarea = document.getElementsByClassName(`comment_reply_text_${comment_id}`)[0]; const charCount = document.getElementById(`charCount_${comment_id}`); textarea.addEventListener('input', function () { charCount.textContent = this.value.length; if ( this.value.length > 500) { charCount.style.color = 'red'; } else { charCount.style.color = ''; // Reset to default (black) } }); } function getIcon(icon_name,json,type) { if(type==10){ return `manager-icon.png`; }else if(type==20){ return `author-icon.png`; }else{ const iconArray = Object.values(json); if (iconArray.includes(icon_name)) { return icon_name; } return json["0"]; } } function toggleContent(trigger) { var content = $(trigger).siblings('.js-profile-content'); var isVisible = content.is(':visible'); if (isVisible) { content.removeClass('is-open'); } else { content.addClass('is-open'); } content.toggle(); }鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。