シリアでは独裁的なアサド政権が崩壊し、「シリア解放機構」が主導する暫定政権が発足し、18日には首都ダマスカスの空港で国内線の運航が再開されるなど、人々の生活は徐々に日常を取り戻しています。
一方で、長年続いた内戦で疲弊した経済をどう立て直すかが大きな課題となっています。
こうした中、「シリア解放機構」のジャウラニ指導者はイギリスの公共放送BBCのインタビューに応じ、「シリアは戦争で疲弊しており、近隣諸国や西側諸国にとっての脅威ではない」と強調しました。
そして、欧米などが旧政権に科してきた経済制裁について、「被害者と抑圧してきた側を同じ扱いにすべきではない」として制裁の解除を訴えました。
さらにジャウラニ指導者は、シリア解放機構が国連やアメリカなどからテロ組織に指定されていることについても、「テロ組織だと呼ばれるような罪を犯したことはない」と述べ、シリア解放機構はテロ組織ではないと主張しました。
一方、今回のインタビューはアサド政権が利用してきた大統領宮殿で行われたということで、ジャウラニ指導者としては権威を示したいねらいもあったとみられます。
国連事務総長 イスラエル軍による空爆 即時停止求める
国連のグテーレス事務総長は19日、シリア情勢について記者会見し、「中東は戦火で荒廃しているが、シリアには希望の炎がある。これを消してはならない」と述べ、シリア人主導による政治的な移行プロセスや復興支援に国連として全面的に協力する姿勢を示しました。
一方、イスラエル軍によるシリア国内への大規模な空爆について「シリアの主権と領土保全に対する侵害であり、やめなければならない」と即時停止を求めました。
さらに、イスラエルが「一時的な措置」と主張するシリアとの緩衝地帯への軍の駐留についても「はっきりさせたい。緩衝地帯に国連の平和維持部隊のほかに軍隊は存在すべきでない」と批判しました。
またシリア北部で戦闘が続いていることについても、「過激派組織IS=イスラミックステートは依然としてシリア国内の多くの地域で大きな脅威となっている」と述べ、懸念を示しました。
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