ロシア・クラスノダール地方で15日、座礁したタンカー2隻から約3000tの重油が流出した。約49kmの海岸線が汚染され、深刻な環境被害をもたらしている。重油はイルカや鳥にも付着し、保護活動は難航している。
座礁タンカーが引き起こした惨事
座礁した船の上で撮影された映像では、座礁して前方が海に浸かってしまった船の先に、船の先端とみられる部分が沈んでいるのが見て取れる。
この記事の画像(14枚)15日、ロシアのタンカー2隻が悪天候のため座礁。乗組員26人のうち1人が低体温症で死亡した。
事故は人的被害だけではなく、最悪の環境災害を引き起こす事態へと発展しつつある。
事故があったのは、クリミア半島南部のアゾフ海と黒海を結ぶケルチ海峡。座礁した2隻のタンカーから大量の重油が流出し、ロシア南部のクラスノダール地方の沿岸まで流れ着いた。タンカーには合わせて9000tもの重油が積まれ、その3分の1に当たる3000tが流出したとみられている。
撮影者:
とにかく全身が油まみれだ。全然落ちない。鼻孔もオイルでいっぱいだ。
油にまみれ、全身が真っ黒になって横たわっているのはイルカだ。油が鼻や口の中まで入り込み、ぐったりとした様子だった。
撮影者:
油まみれだわ。どうやって助けたらいいのだろう。かわいそうに。
鳴き声を上げながら岸にうずくまる鳥は重油にまみれ、うまく羽ばたくことができず、波が押し寄せると苦しそうにバタバタともがく様子も見られる。
油を落とそうと鳥を保護しても、人間を警戒し作業は思うように進まない。重油にまみれた鳥は19日までに176羽保護された。
重油が流れ着いたクラスノダール地方の住民:
海岸一帯が重油で汚染されているんです。死んだ鳥や動物が波に流されています。
プーチン大統領「大惨事」
ロシア当局によると重油で汚染された海岸は約49km。地元住民は19日に行われたロシアのプーチン大統領との直接対話で、現地の悲惨な状況を訴えた。
これを受け、プーチン大統領も「大惨事」だと危機感を強めている。
ロシア・プーチン大統領:
これが環境汚染であることは明らかだ。なぜこの事故を大惨事だと考えているか。それは燃料の40%が流出したからだ。
現在は、当局の職員ら約6000人が重油の除去作業に当たっているが、除去するには2年以上かかるとの見方も出ている。
(「イット!」12月20日放送より)
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