防衛省は28日、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向け、埋め立て予定地の北側にある大浦湾側の沖合で地盤の改良工事に着手した。
飛行場の建設を予定する地盤が軟弱なため、直接「砂くい」を7万本ほど打ち込み、固める。くい打ちの前段階にあたる海底に砂をまく工程に取りかかった。
大浦湾側の軟弱地盤の深さは最深部でおよそ90メートルに及ぶ。くいは海面下最大70メートルまで打ち込む。防衛省は「70メートルより深いところは地盤改良を行わなくても構造物などの安定性を十分確保できる」と説明している。
沖縄県は軟弱地盤の安全性を不安視し、移設工事に反対している。法廷闘争をへて国が代わりに設計変更を承認する「代執行」が2023年に認められた。防衛省は24年1月から大浦湾側の工事を始め、8月に埋め立てを本格的に始めた。
沖縄県の玉城デニー知事は12月27日、県庁で記者団に「環境に影響がないわけはない。注視していかなければならない」と述べた。年末の工事開始について「なぜこのタイミングなのか非常に疑問を感じざるを得ない」と語った。
辺野古の埋め立て海域は「辺野古側」と「大浦湾側」に分かれ、大浦湾側が7割超を占める。辺野古側は18年に埋め立てを始めており、進捗率は99%を超える。移設完了まであと10年以上かかる見通しだ。
普天間基地の返還は1996年の日米合意に基づく。当初は返還に要する期間は5〜7年以内とされていた。地元との調整が難航するなど大幅な遅れが生じている。防衛省は住宅地に近い普天間基地は運用のリスクが高いと訴え、地元に理解を求めてきた。
沖縄に駐留する米軍を巡っては12月に海兵隊の米領グアムへの移転が始まった。日米両政府が2006年に在日米軍再編計画に合意して以来、海外に部隊が移るのは初めてになる。
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