「選挙の天才」の異名を取り、アメリカ共和党のブッシュ(子)元大統領の右腕として大統領選を勝利に導いたカール・ローブ元大統領上級顧問(73)が本紙のインタビューに応じた。今秋の大統領選で共和党のトランプ前大統領(77)が民主党のバイデン大統領(81)よりも優勢との見方を示すとともに、アメリカ社会における保守の変化について語った。(米テキサス州オースティンで、浅井俊典、写真も)

 カール・ローブ 1950年、米西部コロラド州デンバー生まれ。ブッシュ(子)元大統領が南部テキサス州知事に出馬して以来、選挙参謀を務め、94、98年の知事選を勝利に導いた。知事2期目途中で出馬した2000年と04年の大統領選でも当選を実現させ、政権1期目から大統領上級顧問、2期目では大統領次席補佐官を兼務した。現在は米紙ウォールストリート・ジャーナルのコラムニスト。

米テキサス州オースティンの事務所でインタビューに答えるカール・ローブ氏

◆パフォーマンスが抜群にうまい

 ローブ氏は「バイデン氏が抱える根本的な問題は、国民の4分の3が『年を取りすぎていて弱い』と考えていることだ。強い候補と弱い候補のどちらかを選べと言われれば、米国民は強い候補を選ぶ」と指摘。「もし今選挙が行われたら、接戦でトランプ氏が勝つだろう」と予測した。  共和党ではトランプ氏のスローガン「米国を再び偉大に」(Make America Great Again=MAGA)に共鳴し、「MAGA」と呼ばれる熱狂的支持者や党員らが影響力を強めている。  ローブ氏は「トランプ氏はパフォーマンスが抜群にうまく、私たちがめったに見たことのないスキルを持っている。問題は、それがどれほど強力なものとして続くか。MAGAの強さの大部分は、トランプ氏自身の強さだ」と指摘した。

◆保守派は新たなステージに

「レーガンやブッシュの時代に戻ることはない」などと話したカール・ローブ氏

 今後の共和党については「5年後、10年後の党のリーダーが誰になるかによるが、小さな政府、世界における米国のリーダーシップに対する保守の支持基盤は今もある」と強調。その上で「レーガンやブッシュの時代に戻ることはない。伝統的な保守と新しいもの(MAGA勢力など)をどの程度の割合で融合させていくのか。新たなステージに進むことになるだろう」との見通しを示した。  トランプ氏の支持者らが前回大統領選の結果を覆そうと2021年1月に連邦議会を襲撃した事件に関しては「一瞬の脅威ではあったが、民主主義のガードレールは守られた。今回の大統領選で誰が勝とうと予防措置はとられるはずだ」と展望した。 

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