プーチン大統領の元側近 “戦争は権力維持の手段”
ゼレンスキー大統領などの暗殺計画に関わったか 2人拘束
死亡したナワリヌイ氏の妻 SNSでプーチン政権を非難
ウクライナ保安庁は、ロシア側に協力しゼレンスキー大統領をはじめ政府高官の暗殺計画に関わった疑いでウクライナで要人警護を担当する部署の幹部2人を拘束したと発表しました。ウクライナ保安庁の7日の発表によりますと、拘束されたのは、ウクライナで要人警護を担当する国家警備局の大佐2人で、ロシアの治安機関FSB=連邦保安庁に機密情報を漏らし、政府高官の暗殺計画に関わった国家反逆などの疑いが持たれています。ロシアが暗殺の対象にしていたのは、ゼレンスキー大統領のほか、ウクライナ保安庁のマリュク長官、ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長などの政府高官だったということです。暗殺計画は、ウクライナ側の工作者が対象となる人物の行動を観察してロシア側に情報を提供し、ロシア軍がその人物がいる建物にミサイルや無人機による攻撃を仕掛けるなどの内容だったとしています。ウクライナ保安庁のマリュク長官はSNSでロシアのプーチン大統領の新たな任期が始まったことを踏まえ「就任祝いとして贈られるはずだったテロ攻撃は失敗に終わった。しかし、われわれは敵が強力で経験豊富だということを忘れてはならず、侮ることはできない」としてロシアによる工作活動に警戒感を示しました。
ロシアのプーチン大統領は7日、モスクワのクレムリンで行われた就任式で宣誓し、2030年までの通算5期目となる任期が始まりました。演説を行ったプーチン大統領はウクライナへの軍事侵攻に参加する兵士たちに謝意を示すとともに「われわれは結束した偉大な国民だ。あらゆる国難を乗り越えて、計画したことをすべて実現する。共に勝利しよう」と呼びかけました。プーチン大統領は8日、旧ソビエトの各国首脳を招いて「ユーラシア経済同盟」の会議を開くほか、9日は、第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利したことを記念する式典に臨む予定です。プーチン大統領としてはウクライナ侵攻で欧米との対立が深まる中、友好国との連携をアピールするとともに、国民に改めて結束を呼びかけるものとみられます。
プーチン大統領の就任式に合わせて、死亡した反体制派の指導者ナワリヌイ氏の妻のユリアさんは7日、SNSで動画を公開し「プーチン政権はうそと腐敗から成り立っている。私たち全員から日々盗んでいる巨額の金を使って、平和な都市を攻撃したり、治安部隊が警棒で人々を殴ったり、うそのプロパガンダを広めたりしている」と述べ、プーチン政権を厳しく非難しました。そして「私たちの国は今、うそつきでぬすっとで殺人者でもある人物によって支配されているが、これは絶対に終わることになる。諦めないで。真実は勝つ」と述べ、プーチン大統領に対する戦いを続けるよう支持者に呼びかけました。ナワリヌイ氏がことし2月に死亡したあと、妻のユリアさんはロシア国外を拠点に夫に代わってプーチン政権への批判を続けています。
ロシア国防省は今月6日、プーチン大統領の指示を受けて戦術核兵器を扱う部隊による軍事演習の準備を開始したと発表しました。これに続いて7日、ロシアと同盟関係にあるベラルーシのフレニン国防相はルカシェンコ大統領から戦術核兵器を扱う部隊の点検作業を行うよう指示があったと明らかにしました。ロシアのプーチン政権は、ベラルーシでロシアの戦術核兵器の配備を進めていてベラルーシの安全保障会議の高官は今回の措置はロシア軍の演習に合わせた動きだと説明しています。ベラルーシの国営通信によりますと、ルカシェンコ大統領は7日に行った演説で、ベラルーシに配備された戦術核兵器は抑止目的だと主張したうえで、欧米側が軍事的な挑発行為を行っていると非難しました。そのうえで、ルカシェンコ大統領はモスクワで8日にプーチン大統領と会談し、今後の演習について協議するとしています。ロシアとベラルーシは、核戦力を巡って連携した動きを見せることで欧米側へのけん制を一段と強めるねらいがあるとみられます。
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