フィリピンの国家安全保障会議のトップを務めるアニョ担当顧問は10日声明を発表し、マニラの中国大使館が「フィリピン国民の間に分断の種をまくことを目的に偽情報や誤情報、悪意のある情報を繰り返し流した」と非難したうえで、関わった中国大使館の職員の国外追放をフィリピン外務省に求めました。

フィリピン側が偽情報としているのは、フィリピンが実効支配する南シナ海のセカンド・トーマス礁をめぐって、ことし1月に中国との間でフィリピン軍の拠点への補給に関する合意が成立していたとする主張です。

フィリピン政府は中国による情報戦だとして合意の存在を一貫して否定しています。

フィリピン当局によりますと、この問題を巡って、中国大使館は5月7日、フィリピン軍の高官と中国の外交官がかわしたとする電話の音声記録などを一部のフィリピンメディアに一方的に提供したということです。

国家安全保障会議の声明文は電話の録音がフィリピンの盗聴防止法に違反するほか、国際的な外交規範を逸脱するものだと厳しく指摘しています。

また、フィリピン政府は両者の間にやりとりがあったとしても政府間の合意は成立していないとしています。

今後、フィリピン外務省が国外追放を決めるかどうか対応が注目されています。

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