写真はイメージ=ゲッティ

 海外で承認された医薬品が国内で実用化されない「ドラッグロス」の解消を目指す政府の有識者会議の中間とりまとめ案が16日、判明した。海外のスタートアップ企業など向けの相談・支援を行うワンストップサービス窓口の設置や、臨床研究中核病院の承認条件見直し、治験コーディネーターら国際共同治験を担う人材育成などを盛り込んだ。

 案では、バイオ医薬品が主流になり、人工知能(AI)を用いる創薬も登場するなど「創薬のパラダイムシフト」が起きていることなどが国際競争力の低下につながっているとの認識を示した。創薬力の強化を課題に挙げ、「研究初期から上市(市場販売)まで支援・実施できる幅広い関連産業の存在も不可欠。国としての総合力が試されている」と問題提起した。

 その上で、基礎研究段階の創薬を担うスタートアップや学術界で実用化を見据えて研究開発する人材が少ないと指摘。薬事承認を含む実用化ノウハウを持つ外資系製薬企業や米国系ベンチャーキャピタル(VC)の人材を国内に呼び込むとともに、国内の人材育成の必要性にも触れ、外資系製薬企業やVCをメンバーとする官民協議会の設置などを提案した。

 国際規模で実施される医薬品開発の臨床試験への参加を促し、ワンストップサービス窓口を設置して国内での治験の誘致を狙う。臨床研究中核病院の承認要件を見直し、国際共同治験などの実績も加味するように見直す。

 22日の有識者会議でとりまとめられる方針。【松本光樹】

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