現在も裏方として活躍を続ける奥出雲おろち号のディーゼル機関車=鳥取県米子市で2024年6月18日午後1時34分、松原隼斗撮影

 昨年11月に引退したJR木次線の観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」。かつて鉄道ファンから注目を集めた人気の車両は今、裏方として鉄路を支えている。

 おろち号は、1998年4月から2023年11月まで活躍した。ディーゼル機関車、窓のないトロッコ車両、悪天候時の控え車両の3両編成で、木次駅(島根県雲南市)-備後落合駅(広島県庄原市)間の60・8キロ(一部は出雲市駅発)を走った。昨年11月のラストランには、沿線や駅に多くの人たちが駆けつけ、別れを惜しんだ。

 そのうちディーゼル機関車は現在、JR西日本中国統括本部の後藤総合車両所米子支所(鳥取県米子市)に配備。検査車両を工場へと引っ張ったり、線路修繕用の車両を牽引(けんいん)したりする役割を担っている。

 車両は国鉄時代の1972年に製造され、老朽化が進んで部品調達が難しい。それでも、日々の入念な検査によって現役を続けている。おろち号ならではの青と白を基調としたカラーリングや星のマークも健在だ。トロッコ車両と控え車両は、検査期限を迎えたために廃車となった。

 おろち号のラストランで業務のため乗車していた同車両所検修社員、下田泰樹さんは「地域の皆さんから愛されている車両だと強く感じた」と語る。

 おろち号の引退後は、これまで山陰線を走っていた観光列車「あめつち」が木次線に乗り入れ、沿線の観光振興に貢献している。【松原隼斗】

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