長崎県雲仙市で初開催された「全国煮干しサミット」=20日午後

生産、消費とも落ち込む煮干しの食文化を盛り上げようと、一大産地の長崎県雲仙市で20日、水産業者や地元の市民が参加した「全国煮干しサミット」が初めて開かれた。産地連携を図るため各地に呼びかけ、千葉や香川、熊本の漁業者も出席。煮干し料理を味わえたり、調理法を学べたりするブースが設置され、家族連れなどでにぎわった。

会場には大漁旗が並び、ゲストとして漁師の経歴を持つ演歌歌手、鳥羽一郎さんがトークショーを実施。鳥羽さんは「煮干しは料理に欠かせない。ここで食べた(煮干しの原料の)カタクチイワシは生臭さがなくおいしかった」と語った。

雲仙市の橘湾東部漁協が煮干しづくりの先行きへの危機感から企画した。農林水産省によると、令和4年の全国の煮干し生産量は約4万6千トンで10年前から4分の1ほど減少。海洋環境の変化による資源量の落ち込みに加え、家庭料理で「だし」を取る習慣が薄れているためだ。

運営に当たった地元の水産会社社員、林田真明さん(55)は「サミットを機に産地同士の連携を深め、業界全体で煮干しの魅力発信に力を入れたい」と意気込んだ。

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