東京大学=東京都文京区で2021年6月15日、武市公孝撮影

 東京大の入学式が12日、東京都千代田区の日本武道館で開かれた。藤井輝夫学長は式辞で、新入生の性別の偏りに触れ「さまざまな構造的差別は自然には解消されないので、私たちがそれを認識し、自省し、アクションを取る必要がある」と呼びかけた。

 同大の今年度の新入生計3126人のうち、男性は2480人であるのに対し、女性は2割の646人だった。藤井学長は、政治や経済の分野で意思決定に関わる女性の数が圧倒的に不足しているとして「教育においても、女性の進学や理系受験を妨げるような障壁の存在が指摘されている」と言及。「構造的差別の再生産と拡大とを断ち切り、あらゆる構成員が等しく権利を持つ社会を実現する責任がある。多様な人々が活躍することで、社会はより豊かなものになる」と述べた。

 その上で藤井学長は新入生に対し、「みなさんが構造的差別のどこにいま位置しているのかを知ることは、それぞれにとって最初の宿題かもしれない」と語り、「構造を知る者は、同時に、その構造を変える力を持つ。ぜひ、現在の社会構造をみんなで望ましい方向に変えていくにあたって、自らが持ち得る力を探っていただきたい」と促した。【井川加菜美】

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