人工巣塔上のりょう(左)と淡夢(右)=2024年3月31日、青木章彦さん撮影(わたらせ未来基金提供)

 栃木市は10日、渡良瀬遊水地第1調節池の人工巣塔で営巣中のコウノトリ(国特別天然記念物)のペアが産卵したとみられると発表した。推定通りなら、2022年の巣塔設置後初めてのヒナが5月5日ごろに誕生する。

 市渡良瀬遊水地課によると、ペアは小山市生まれの「りょう」(雄3歳)と兵庫県淡路市生まれの「淡夢(あむ)」(雌3歳)。2羽とも昨年11月、兵庫県内で目撃記録があり、年明けに相次いで遊水地に飛来したとみられる。市は3月上旬に交尾らしい行動、同月下旬には交代で巣に伏せるような行動をそれぞれ確認した。

 このため、市は3月30日~4月2日、1日7時間にわたり2羽の行動を記録。同3日、兵庫県立コウノトリの郷公園に4日分の観察データを添えて産卵かどうかを照会した。翌4日には、同公園から「3月31日に初卵産卵、4月2日から抱卵に入った」との回答があった。

 渡良瀬遊水地は面積約33平方キロ。4県4市2町にまたがり、栃木市が71・2%を占める。先行する小山市に続き、栃木市は22年3月、コウノトリの定着と繁殖を目的に2基の人口巣塔を設置した。2羽が営巣中の巣塔はこのうち、同市藤岡町内野の北エントランス近くの1基。巣塔近くの沼は釣り場となっており、管理用道路の車の往来も多い。市は3月29日から通行を制限し、見守り態勢を強化している。

 大川秀子市長は「誕生を心待ちにしている。静かに温かく見守ってほしい」と話した。今後、遊水地のファンクラブ「渡良瀬ナイツクラブ」の会員を対象に愛称を募り、子育て世代向けの市のアプリを使い人気投票で選定する方針。【太田穣】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。