エムポックスウイルスの電子顕微鏡写真=国立感染症研究所提供

 エムポックス(サル痘)を発症した人のウイルス排出は患者ごとにばらつきが大きいと、名古屋大やオランダ国立公衆衛生環境研究所などの研究チームが26日発表した。エムポックスは一般的に3週間の隔離が推奨されるが、チームはPCR検査などで隔離条件を決めるのが望ましいとしている。

 エムポックスは、体表の水疱(すいほう)やのう疱にウイルスが含まれ、接触や性交渉などで感染が広がる。致死性が高いクレード1と、比較的低いクレード2があり、欧米や日本では2022年からクレード2が流行した。

 チームは、クレード2に感染した海外の90人のデータを解析し、感染力のあるウイルス量と排出期間を解析した。すると、量が少ない71人は平均で10・4日で、3週間よりも短かった。一方、量が多かった19人は最大で24・8日と、3週間を超えるケースがあった。

 チームはこのデータをもとに隔離の解除のタイミングも試算。「PCR検査を5日間隔で行い、3回連続の陰性」を条件にすると、感染力のある状態で解除されるケースが5%以下に抑えられることもわかった。

 チームは「感染性があるままで隔離を解除するのは大きなリスクだが、不必要に長く隔離することは医療機関への大きな負担にもなる。患者に合わせた隔離期間を見極めることは重要だ」と強調する。

 今年に入り、クレード1がアフリカ中部で流行して欧州や東南アジアでも確認され、世界保健機関(WHO)が2回目となる緊急事態を8月に宣言した。チームの三浦郁修・オランダ国立公衆衛生環境研究所主任研究員は「クレード1のデータが集まれば同様の手法で分析したい」と話した。

 成果は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(https://www.nature.com/articles/s41467-024-51143-w)に掲載された。【渡辺諒】

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