「さくらネット」の9月稼働について発表する長堀薫一般社団法人さくらネット協議会理事長(左)や黒岩祐治知事=横浜市中区で2024年8月27日、遠藤和行撮影

 神奈川県の横須賀・三浦地域の病院や薬局、介護事業者が、患者の診療歴や投薬、ケアプランなどの情報を共有する医療介護連携ネットワーク「さくらネット」を近く稼働する。同ネットに参加する医療機関を受診し、情報共有に同意した患者のみが対象となる。

 患者の医療・介護情報が一元管理でき、検査の重複や同時に飲んではいけない薬の回避などが期待できる。医療・介護情報を共有する取り組みは、県内では横浜市の一部で実施されている「サルビアねっと」に続き2例目。

 横須賀・三浦地域は横須賀、鎌倉、逗子、三浦、葉山の4市1町。同ネットの運営は、「横須賀共済病院」や「湘南鎌倉総合病院」が中心となって今年4月に設立された「一般社団法人さくらネット協議会」(理事長・長堀薫横須賀共済病院長)が担う。

 また、入院患者がリハビリなどで転院する場合、隣接する横浜市や藤沢市の医療機関と連携することが少なくないため横浜、藤沢両市からも参加する医療機関がある。現状で32病院▽74診療所▽1歯科▽74薬局▽37訪問看護ステーション▽51居宅支援事業所・介護施設の計269施設が参加を予定している。

 ネットワークの仕組みは、患者が登録すると、受診する医療機関の電子カルテなどの情報が、インターネット上のサーバーに蓄積される。病院などは必要に応じて情報を参照できる。患者のさくらネットへの登録は始まっており、希望者は、かかりつけの病院などに問い合わせる。

 セキュリティー対策は国や県のガイドラインに基づき取り組む。県はシステム構築の初期費用として4億9000万円を支援する。

 黒岩祐治知事らが8月27日に記者会見して同ネットの運用を発表。協議会の長堀理事長は「検査の重複回避などで患者の身体的、経済的な負担を軽減できるほか、救急搬送の際に正確な情報が病院側に伝わるなどのメリットがある」と述べた。【遠藤和行】

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