「幻の橋」と呼ばれる北海道上士幌町の旧国鉄士幌線「タウシュベツ川橋梁(きょうりょう)」が、崩落によりアーチが途切れる危機にひんしている。ここ数年で急速に劣化が進む中、来年も古代遺跡のような11連アーチが見られるか、正念場の冬を迎える。
3日午前、許可を得て上空からドローンで撮影した。高さ10メートルほどの橋の6割程度が水に沈む中、かろうじてアーチがつながっている様子が確認できた。所々でコンクリートがはがれ落ち、鉄筋がむき出しになっている。
毎日のようにガイドツアーを実施する「ひがし大雪自然ガイドセンター」によると、7年ほど前から数年ごとに崩落が見られるように。今年6月には中央部が大きく崩れ、薄いコンクリートが残るだけとなった。
1937年に完成した全長130メートルのアーチ橋は、水力発電用のダム建設のため水没区域になり、55年に役目を終えた。橋は毎年、雪解け水などでダムの貯水量が増える5月ごろから徐々に水没し、水が少なくなる翌年1月ごろに再び姿を見せ始める。大自然の中にぽつんと残る様子は古代遺跡のようで、企業のポスターに採用されるなど人気観光地になった。
今年は11月上旬ごろに完全に水没する見込みで、同センターの河田充代表(64)は「アーチがいつ崩れても不思議ではなく、ギリギリの状態です。今年の冬を乗り切れるか、大きな山場です」と話した。(長島一浩)
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