鳥海山麓に広がる山形県遊佐町吹浦の小野曽集落で、シダレハナモモが満開となって〝桃源郷〟のような美しさに訪れた人々が歓声をを上げている。
小野曽は、鳥海山5合目に通じる山岳観光道路「鳥海ブルーライン」を山形県側の吹浦口から登ってすぐ。集落のあちこちに大小さまざまなシダレハナモモが傘を開いたように枝を広げ、赤、白、ピンク、そして3色が入り交じる源平咲きの花を咲かせる。
ハナモモの周囲では色とりどりのシバザクラが地面を覆い、さらに菜の花、スイセン、ツバキ、ムスカリなども色を添えている。
ブルーラインから約1キロ奥まった農業、小林栄一さん(70)方では約5000平方メートルの園地に大小50本のシダレハナモモが咲き誇る。「今年は15日ごろから咲き始め、21日前後に満開になった」と小林さん。
小野曽は戦後、外地からの引き揚げ者が入植して開拓した集落で、住民が茨城県の引き揚げ者仲間からもらったシダレハナモモの苗木を植えたのが始まり。小林さん方では「父親が1本の苗木をもらって植え、その種を発芽させて増やしてきた」という。
鳥海ブルーラインの冬季閉鎖が解除された26日、宮城県栗原市から夫婦で訪れた男性(75)は「これだけみごとなシダレハナモモの群落はなかなか見られない。来てよかった」と満足そうに話す。
園地入口にある母屋で「最近は県外からも見にくる人が増え、世間話をするのが楽しみ」と話す小林さんに、見終えた人々が「ほんとにきれいだった「ありがとう」「来年またきます」と次々に声をかけていた。
小林さんの園地ではハナモモが終わるとフジ、アヤメ、ツツジが咲き始めるという。
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