グッチ製品が日本で初めて正式に紹介されてから、今年で60周年。節目を記念して京都市京セラ美術館で開催中の展覧会「GUCCI COSMOS」では、アーカイブ作品が美術や伝統工芸と同居し、ブランドの歴史や理念を象徴する空間を作り上げている。

 「クリエイティビティの系譜」と題されたインスタレーションでは、1970年代から現在までのグッチのコレクションをまとったマネキンが勢ぞろいした。なかでも、トム・フォードによるシルク製のキモノドレスは、京都という地での展示によくなじむ。

 レジャーとファッションの関係がテーマの展示室は、同館所蔵の絵画がグッチのアイテムと「対話」する趣向だ。着物姿でゴルフクラブを握る女性を描いた丹羽阿樹子(あきこ)の「ゴルフ」(昭和初期)と代名詞の「GGパターン」があしらわれたゴルフバッグ、海辺のテラスで憩う女性たちを描いた中村研一の「瀬戸内海」(1935年)とマリンプリントのポシェットなど、時代と国を超えて共通する余暇の喜びを感じさせる。

 アイコンである竹のハンドルがついたバンブーバッグのコレクションには、写真家の森山大道や現代美術家の横山奈美、彫金家の人間国宝・桂盛仁(もりひと)らがビンテージバッグを使って手がけた作品も加わる。森山、横山のバッグの別タイプは、先月開かれたミラノ・ファッションウィーク2025年春夏シーズンのショーでも登場。日本の美術との出合いが、新たにブランドの歴史に加わった。(田中ゑれ奈)

 ▽「GUCCI COSMOS」展は京都市京セラ美術館で12月1日まで。祝休日をのぞく月曜休館。

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