国が進めるGIGAスクール構想の「1人1台端末」整備について会計検査院が38自治体を抽出調査したところ、各自治体が低所得世帯の高校生向けに準備したデジタル端末計9万5554台のうち、3分の1に当たる3万2802台が貸与されないままになっていたことが判明した。未貸与分の購入費などに充てられた国の補助金は計12億7048万円に上るとみられ、検査院は15日、文部科学省に有効活用策を取るよう意見した。
国の構想は自治体を通じて、小中学生に一律でパソコンやタブレットなどのデジタル端末を配布。高校や中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部の生徒には原則、私物や学校指定で購入した端末を持参させるケースが多い。国は教育の機会均等の観点から、低所得世帯の生徒らに貸与する端末に対し、1台当たり4万5000円を上限として購入やリースの費用を自治体に補助している。
検査院の調査は、道府県や市町村など38自治体が2021年度に調達した端末9万5554台(補助金額計38億1309万円相当)を抽出して実施。その結果、今年4月末までに貸与実績があった端末は6万2752台で、残る3分の1が貸与されず、貸与率は約65%にとどまった。貸与率が50%に満たない自治体も14あり、うち8自治体は25%未満だった。
検査院は貸与率が低迷する要因として、自前で端末を準備する生徒が想定よりも多かった▽貸与対象者の範囲を広げるといった柔軟な運用ができていなかった――などと指摘。文科省から自治体への事務連絡も不十分で「今後、自治体に見直し方などの参考情報を示すべきだ」としている。文科省学校情報基盤・教材課の担当者は「低所得世帯以外にも貸与できることを改めて周知するなどしていきたい」と話した。【渡辺暢】
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