譲位から5年がたつ上皇さまと上皇后さまは、天皇、皇后両陛下が主催される園遊会などの行事への参列は控えられてきた。新型コロナウイルス禍では外出を見合わせたが、最近はゆかりの地を再訪したり、旧交を温めたりする機会も持たれている。年齢に伴う体力低下などに直面する中、互いをいたわり合いながら生活されている。
上皇ご夫妻は令和2年3月に皇居を退去し、仮住まいを経て4年4月、赤坂御用地内の仙洞御所に入られた。上皇さまは皇居内の生物学研究所に週2回通い、ハゼの研究を続けられている。
コロナの感染症法上の分類が見直された昨年5月、ご夫妻は静養以外で約4年ぶりとなる地方ご訪問で、京都、奈良へ。都内では、長年交流のある音楽家らのコンサートや、展覧会などにも足を運ばれている。
一方、上皇さまは2年1月に一時、意識を失って倒れられた。その後大きな体調の変化はないが、4年7月には右心不全との診断を受けられた。上皇后さまは元年9月に乳がんの手術をお受けに。日課の散策中に立ち止まり、息を整えられることもあるという。宮内庁は6年度、ご夫妻の医療体制強化のため、上皇侍医を1人増員した。
高齢などを理由に、君主が自らの意思で世代交代を図る「生前退位」は近年、海外の王室でも相次いでいる。デンマークでは83歳だったマルグレーテ女王が今年1月、長男のフレデリック皇太子に王位を継承した。君主が自らの意思で退位するのは、デンマークでは約900年ぶりだった。
オランダ王室は3代連続で女王が譲位し、慣例化。ブータンでは、前国王が憲法に国王の定年制を導入し、自身は2006年に51歳で退位した。
一方、英国では、譲位は制度上可能だが慣例がなく、エリザベス女王は96歳で亡くなるまで公務を全うした。チャールズ新国王は英王室史上最高齢の73歳で王位を継承した。(緒方優子、吉沢智美)
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