能登半島地震の避難所を訪れ、被災者に声をかけられる天皇、皇后両陛下=4月12日午後、石川県能登町立松波中学校

天皇陛下は5月1日、即位から5年を迎えられる。代替わり後、間もなく始まった新型コロナウイルス禍ではオンラインも活用しながら、皇后さまとともに各地の人々と交流を重ね、令和の象徴としてのあり方を模索し続けられてきた。陛下のライフワークである「水」問題の研究者や、幼少期からの同級生が、陛下の活動のご姿勢やお人柄などについて語った。

「水問題」ご活動、即位後も現場主義

政策研究大学院大教授、広木謙三氏

広木謙三氏

天皇陛下は皇太子時代から、「水」問題への取り組みをライフワークとすることを示唆されてきたが、即位後もその熱意は変わらず、自ら足を運び、人と交わる「現場主義」はむしろ加速しているような印象を受ける。

新型コロナウイルス禍では、オンラインで水の国際会議に出席するなどして活動を積み上げてこられた。各国の専門家から「陛下のお話を伺いたい」という声も多くあり、国際社会から高い評価を受けられている。

コロナ禍後には国内外で視察を重ね、昨年6月に訪問したインドネシアでは、水に関する施設を3カ所も視察された。現場の大切さを感じられているのではないか。現地の人たちから、「(ご訪問で)勇気づけられた」という言葉も聞いた。水を通じて、市井の人たちとも交流し、活動の幅を広げられている。

陛下は水を通じ、環境や災害、格差など世界のさまざまな課題を具体的に考え、俯瞰(ふかん)的に物事を捉えられている。今後も水を軸にしつつ、世界のさまざまな課題に心を寄せていただければ、ありがたい。(聞き手 吉沢智美)

奥ゆかしく優しく、変わらぬお人柄

同級生で能楽師、観世清和氏

観世清和氏

天皇陛下は奥ゆかしさの中に優しさや思いやりがあり、大和心(やまとごころ)を持たれた方だ。学習院初等科で同じクラスだった頃から、皇太子時代、ご即位後も、そのお人柄は変わらない。

昨年11月、文化功労者として皇居に招かれ、天皇、皇后両陛下とテーブルを囲んで懇談する機会に恵まれた。その場でも、陛下がご自身から「実は観世さんと私は、同級生なんですよ」と話し、場を和ませておられた。陛下の周囲への気配りは学ばなければならないと、お会いするたびに感じている。

皇后さまも、長女の敬宮(としのみや)愛子さまが学習院女子高等科時代、(観世流の活動拠点の)観世能楽堂で能楽を鑑賞したことなどを紹介し、陛下のご発言をフォローされている様子が印象的だった。とても温かみのあるご家族だ。

能登半島地震の被災地を見舞われる両陛下のお姿も、報道で拝見した。非常に自然に振る舞っておられるが、人には見せないさまざまなご苦労がある。リラックスされる時間もお持ちになり、ご健康にご留意なさって、活躍されることをお祈り申し上げる。(聞き手 吉沢智美)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。